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棋士・女流棋士から見た西山朋佳とは「棋士編入試験に挑む― 西山朋佳と勝負の世界」

マイナビニュース / 2024年9月9日 11時30分

みんなあきれ半分ながら、終盤の切れ味には誰もが認めざるを得ない輝きがあったと思います。面白い将棋を指す人のほうが注目を集めやすいですから、西山さんが関東奨励会に溶け込むのは早かったですね」
○小高佐季子女流初段

小学生の頃、四間飛車を中心に指していた小高は、中飛車から大駒をバサバサとさばいて寄せきる西山将棋に憧れて、中飛車党に転向した。参考にする棋士はこれまでもいたが、ここまで憧れを強く抱いた対象は初めてだったという。

小高の兄が奨励会に在籍しており(三段で退会)、西山と親しかったこともあって、紹介してもらえることになると「何を着ていこう、どんな話をしよう」ということで頭がいっぱいになった。いざ会ってみると、棋風と性格のギャップに驚いたという。

「あの将棋を指す人が、こんなにほわほわしてるなんて、と。すごく優しくて穏やかで」

したかった話は緊張でほとんどできず、ひたすら西山を見ていた。この日以降、交流が生まれたという。

「いまとなっては、将棋界でいちばん付き合いが長い人になりました。西山さんにしか話せないようなこともたくさんあります。個人的な相談もいっぱい聞いてもらいました。ちょっと失礼だったかなとも思うんですが、憧れると同時に、勝手に将棋界のお姉ちゃんのような感じにしてしまっていたかもしれません」
○岡部怜央四段

第66回三段リーグで、西山は最後まで昇段を争う戦いを見せる。この期、西山は14勝4敗という好成績を挙げながら順位の差に泣き、昇段を逃す。最終局のあと、岡部怜央四段は幹事席への結果報告のタイミングがたまたま西山と一緒になり、西山が昇段できなかったことを知った。

岡部は西山に黒星をつけた4人のうちの一人であり、しかも最終日に西山の競争相手と戦って敗れていた。何かを言わなければいけないような気がして、とっさに口をついて出た言葉は「すみません」だった。 「岡部くんのせいではないよ」という返事が返ってきた。あとから考えると、「すみません」は適切ではなかったかもしれないと思うが、では代わりになんと言えばよかったのかはいまもってわからない。

岡部は、四段昇段後、西山と公式戦で対戦した際、先に対局室入りして下座についたことが話題になった。西山は少し驚いて、岡部に上座に座るよう促し、岡部は席を移ることに
なった。

「奨励会時代、先輩だった西山さんと指すときはいつも玉将を持って指していたので、王将を持つことに変な感じがありました。リスペクトの気持ちを込めていましたが、かえって西山さんに気を遣わせてしまったかな、と申し訳ない気持ちもありました」

(「棋士編入試験に挑む― 西山朋佳と勝負の世界」/【構成】會場健大)

『将棋世界2024年10月号』では、全編を掲載しています。ぜひご一読ください。
(将棋情報局)



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