デジタル技術はラボをどこまで進化させるのか、アジレントが提案する分析ラボのDX
マイナビニュース / 2024年9月3日 23時17分
アジレント・テクノロジーは9月2日、「未来のデジタルラボ」と題したプレスセミナーを開催。同社が推進する分析ラボのデジタルトランスフォーメーション(DX)に向けた最新の取り組みについての説明を行った。
スマートな製薬製造に向けた標準規格による機器の接続の重要性
同社によると、スマートマニュファクチャリングへの投資は2021年から2027年にかけて倍増する見込みで、製造およびラボにおけるDXの導入が加速していくことが期待されているという。
こうした変化はなぜ進むのか、Agilent Technologiees Deutschlandソフトウェア&インフォマティクス事業本部Software R&D DirectorのWolfgang Winter氏は、製薬業界を取り巻く状況として、「効率性と品質の向上、そして規制への対応が求められている」と説明する。これまでのやり方では、時間やコストが膨大にかかり、新製品の市場投入時間も相当な年月を費やす可能性がある。そうした環境をDX化によってITを活用し、インテリジェントな製造環境を構築することで変革しようというのがIndustrie 4.0の製薬業界仕様が「Pharma 4.0」と言える。
DXの視点で見ると、製薬の製造現場はほかのものづくり産業と似通っている点は多々ある。上位層は製造工程の把握や管理などを司るMES(Manufacturing Execution System:製造実行システム)などが存在し、中間層にLIMS(ラボ情報管理システム)やDevice Control System(DCS)などがあり、下層にセンサやデバイス、ガスクロマトグラフや液体クロマトグラフなどといった分析装置が結びつくイメージとなる。これらの機器には、それぞれの通信プロトコルや仕様などが存在していたが、それだと管理・運用に膨大な手間がかかることから、ベンダに依存せず、OSやソフトウェアにも依存しない形での標準化が求められている。そうした通信規格の1つが産業機器向けのオープンソースに基づく国際標準規格「OPC UA」がある。
同社でも8月にプロセス分析技術(PAT:Process Analytical Technology)を刷新。OPC UAに対応するWeb APIによる機器の連携を可能としたことで、従来はバイオリアクターに対して手でサンプリングを行い、バイアルに詰めて分析装置に運ぶという作業が必要であったのに対し、分析装置を直接接続し、無菌処理などをしながら、HPLCにダイレクトに送出することができるようになったという。
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