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佐野正弘のケータイ業界情報局 第135回 5Gではなく4G基地局を増設!? 野外フェスのネットワーク対策、NTTドコモの秘策

マイナビニュース / 2024年9月5日 20時30分

ですが、ROCK IN JAPAN FESTIVALの会場は見通しのいい平地であったのに対し、MONSTER baSHの会場は先にも触れたように起伏が多く、電波を遮る樹木も多い状況です。バックホール回線には光回線が利用できるなど、インフラ面での環境には恵まれているものの、トラフィック対策に有効な5Gの高い周波数が場所によって遠くに届きにくく、効果を発揮できる場所が限られるという難しさがあるようです。

実際NTTドコモでも、2023年のMONSTER baSHの会場内では人が多く集まる観客エリア付近に移動基地局車を設置して5Gを活用していたのですが、そうした事情もあって2024年は方針を大きく転換。5Gではなく、周波数帯が低い4Gでの対策を強化したのだそうです。

具体的には、4G向け2GHz帯を活用したマルチビームアンテナを移動基地局車に新たに設置したとのこと。通常のアンテナは、3~6方向に広く電波を射出して360度をカバーする仕組みであるのに対し、このアンテナは10~15度の角度に集中して電波を射出し、1方向あたりのトラフィックを減らす仕組み。それを5方向に射出することで、トラフィックが多いエリアを集中してカバーし、トラフィック対策につなげるのだそうです。

フェスでも重要性高まるスマートフォン決済

一方で、多くの野外フェスイベントで共通した対策が取られていたのが、スマートフォン決済への対応です。コロナ禍以降、スマートフォン決済が急速に普及し、野外フェスでも物販や飲食などのブースでスマートフォン決済が利用できるケースが増えたことから、ネットワークが混雑してしまうとスマートフォン決済自体が使えなくなってしまう、という問題が浮上しているのです。

それゆえ携帯各社も、スマートフォン決済を円滑に進めるためのネットワーク対策に力を入れるようになってきています。実際、先に触れたROCK IN JAPAN FESTIVAL 2024では多くの移動基地局車が、スマートフォン決済が多く利用される場所にアンテナを向けてトラフィック対策を強化していたほか、「Starlink」による衛星通信サービスを積極的に導入し、飲食ブースなどの周辺にWi-Fiスポットとして設置するなどして対策が取られていました。

それはMONSTER baSHの会場でも同様で、NTTドコモは2024年のイベントで、飲食・物販エリア近くの見通しが比較的良い場所に移動基地局車をもう1台設置。4G専用の車両に5Gのアンテナも追加で設置するなどして、トラフィック対策を進めていました。

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