1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. IT
  4. IT総合

大阪公大、遺伝子挿入がない高品質ネコiPS細胞の安定作製に成功

マイナビニュース / 2024年9月5日 18時0分

今回の研究では、RNAウイルスの「センダイウイルス」の遺伝子発現系を基に開発された、ステルス型RNAベクター(SRVベクター)が使用された。RNAウイルスはゲノムにRNAを用いているため、同ベクターにより遺伝子が導入されても、宿主の細胞内のDNAに挿入されることが無く、ゲノムを傷つける心配が無い。さらに、細胞から除去することも容易とする。

次に、ネコの6因子(iPS細胞作製に必須の4遺伝子(山中因子)+初期化に有効とされる2遺伝子)がネコ線維芽細胞に導入され、ネコiPS細胞の作製が行われた。その結果、低効率ではあるものの、線維芽細胞から遺伝子挿入の無いネコiPS細胞の作製に成功したとする。また今回の方法で作製されたネコiPS細胞は、フィーダー無しでの培養が可能であり、テラトーマ形性能も有していたという。

続いて、より高効率な作製法開発が目指された。ネコiPS細胞の作製効率が低い原因として、遺伝子導入されていない線維芽細胞が過剰に増殖し、遺伝子導入された細胞がiPS細胞になる過程を阻害している可能性が考えられた。そこで、薬剤で遺伝子導入されていない線維芽細胞を除去し、細胞の初期化が実施された。すると、遺伝子導入された線維芽細胞からネコiPS細胞を効率的に作製できるようになったとする。

最後に、成体からネコiPS細胞の作製が試みられた。ネコへの負担が小さく、入手しやすい細胞が探索され、ネコで一般的な避妊手術によって摘出・廃棄される子宮に着目したという。そして、子宮由来細胞でも遺伝子挿入無しかつ高品質なネコiPS細胞の作製に成功したとする。

今後、今回の研究で作製可能となった高品質なネコiPS細胞を世界中の研究者へ提供することで、獣医再生医療研究や遺伝性疾患の病態解明、新たな治療薬の開発への応用が期待されるとする。一方、ネコiPS細胞から目的の細胞や臓器を創り出す研究は、これから進めていく必要があるとした。ネコでは冒頭で述べたように、慢性腎臓病や糖尿病が深刻な問題となっているため、ネコiPS細胞から腎臓や膵臓を構成する細胞の作製方法の確立が、今後の研究課題としている。
(波留久泉)



この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください