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熊本大、不可能と思われていた酸化グラフェンの水素イオンバリア膜を開発

マイナビニュース / 2024年9月5日 18時9分

水素イオンの透過による測定セルのpH変化が調べられた結果、GO膜の場合、測定セルのpHが瞬時に減少することから、水素イオンが高速で透過することが改めて確認された。一方でPf-GO膜の場合、測定セル側のpH減少を見ることはできなかったという。この結果は、Pf-GOが水素イオンバリア膜として機能することが示されており、骨格中の孔が水素イオンの移動経路になっていることが示されているとした。さらに、「交流インピーダンス法」(さまざまな周波数の交流を印加し、その測定結果の解析により、物質の電気化学的特性を評価する方法)を用いた、より詳細な水素イオン伝導特性の調査が行われた。すると、GO膜とPf-GO膜とでは、最大10万倍の水素イオン透過速度の差があることが判明したとする。

次に、実用的な使用が考慮され、リチウム箔の保護が試みられた。リチウム箔は水との反応性が高いため、水が薄膜を通過しリチウム箔と接触すると激しく反応する。そこで今回の研究では、リチウム箔の表面にGOおよびPf-GO薄膜が作製され、その上から水が滴下された。そしてGOでは、瞬時に水とリチウム箔が反応することが確認された。それに対してPf-GOでは、表面の水滴が乾燥するまで、リチウム箔が反応することはなかったという。以上の結果からも、Pf-GO膜が高いバリア特性を持っていることが明らかにされた。

溶液プロセスにより薄膜が容易なGOは、さまざまな用途のコーティング材料として期待されている。今回の研究で明らかにされた水素イオンバリア特性は、これまで難しいとされてきた防錆や水素インフラに対してもGO膜が有効であることが示されているという。研究チームは今後、水素イオンバリア性能を活かした応用展開を進めていくのと同時に、GOの構造に存在する孔の存在で困難とされてきたその他の機能開拓にも力を入れていく予定としている。
(波留久泉)



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