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知って納得、ケータイ業界の"なぜ" 第176回 KDDIが「3.0」で進める「povo」のオープン化、新たなビジネスを開拓できるか

マイナビニュース / 2024年9月6日 18時0分

そしてもう1社、名前が挙がっているのがサイバーエージェント系の動画配信サービス「ABEMA」である。こちらは現時点では協議をしている最中とのことで、具体的なサービス提供に向けた取り組みが進められている訳ではないようだが、もしサービス提供がなされるとなれば、アプリ上から動画視聴のための通信量を購入できる仕組みなどが考えられるだろう。

○ホワイトレーベル化で新たな市場を開拓できるか

povo 3.0によるオープン化戦略においては、povoのブランドを前面に打ち出さず、あくまで導入するサービスの基盤としてpovoを活用してもらう、ホワイトレーベル化を推し進める点も大きな特徴となる。それゆえトッピングの内容からデザインの建付けまで、パートナー企業と相談しながらカスタマイズできる形が取られるという。

そうしたpovo 3.0の内容を見ると、携帯電話会社からネットワークを借りてサービスを提供するMVNO、あるいは通信のノウハウを持たない企業がMVNOとしてサービスするための基盤を提供する、MVNE(Mobile Virtual Network Enabler)に近い印象も受ける。だが秋山氏は、povo 3.0が「(従来のMVNOとは)違うと思っている」と話す。

その理由はKDDIがネットワーク、パートナー企業がサービス提供に集中する仕組みなので、パートナー企業との密な連携がしやすいこと。そして海外展開の可能性だ。実際秋山氏はpovo 3.0の取り組みを今後日本国内で本格化させ、拡大していくとともに、将来的にはそれを海外でも展開していきたい考えも示している。

povoは元々、KDDIがシンガポールのCircles.Lifeと提携し、KDDI Digital Lifeを設立して提供しているもの。それだけにCircles.Lifeと連携しながら、povo 3.0の基盤を海外の通信事業者に提供するなどしてサービス化していく可能性は十分考えられよう。

携帯電話市場は世界的に見ても、5Gの停滞などによって盛り上がりに欠けており、携帯電話会社は設備投資が求められる一方で収益手段が広まらないことが大きな課題となっている。それゆえここ最近モバイル通信の基盤を、APIを通じて外部に提供し、従来とは異なる形で収益手段を得る施策が業界内では広がってきているのだが、それらの取り組みの多くは法人を狙ったもので、コンシューマー向けの新たなサービスを生み出す機運にはつながっていない。

それだけにpovo 3.0の取り組みが実を結び、海外展開が進むとなれば、コンシューマー市場でも新たなモバイル通信の可能性が生まれ、携帯電話会社の新たな収益手段へとつながる可能性も高い。povo 3.0はまだ離陸前という状況だが、業界の今後を考えるうえでも、その本格展開によって消費者がどのような反応を示すかが、非常に注目される所ではないだろうか。
(佐野正弘)



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