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京大、未知の無機半導体材料のバンドギャップ予測で高速で高精度なAIを開発

マイナビニュース / 2024年9月10日 19時49分

それらの組み合わせにより、最も基礎的な機械学習モデルの1つとされる「単一サポートベクター回帰モデル」(単一SVR)との比較で12%、従来の最良モデルとの比較では5.7%の精度向上が達成されたとした。今回の開発モデルは、実測値に対して平均絶対誤差0.348eVを示し、無機半導体材料のバンドギャップについての既存の機械学習モデルの中で最高となる予測精度が実現されたのである。

さらに、個々のモデルによる予測値をバイアスと分散の観点から分析し、各モデルの特徴が解明された。また、Shepley値、バイアス、分散をもとに各ベースモデルがアンサンブル予測に与える影響が検討されたところ、CGANとMPNNの組み込みが予測精度の向上に大きく寄与していることが判明。

しかしCGANとMPNNを追加すると、アンサンブル予測値の分散が減少する一方で、バイアスは増加してしまうことも示されたとした。つまり、新規半導体材料のバンドギャップを予測するアンサンブル学習モデルを開発する際には、予測精度の向上だけでなく、バイアスと分散のバランスも考慮した解析を行うことが重要とした。また、今回開発されたアンサンブル学習モデルの計算負荷は軽く、一般的なノートPCでも数時間内に実行できたとする。そのため、高速に高精度な予測を可能とする手法であるといえるとしている。

研究チームは今後、今回の機械学習モデルを用いて、各種電子・光デバイス応用に有望な新規半導体材料のスクリーニングと提案を進めていくという。一方で、一般に機械学習モデルは精度の高いものほどその内部機構が不透明になり、その場限りでの計算や予測には力を発揮しても、汎用性や拡張性に乏しいというジレンマがある。そこで、いわゆる"説明可能なAI"(XAI)の技術を活用することで、材料の諸物性とバンドギャップとの相関を系統的に解釈する取り組みも進めており、こちらの成果についても近々発表の予定としている。
(波留久泉)



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