1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. IT
  4. IT総合

産総研など、ポストネオジム磁石候補の高性能化を実現する技術を開発

マイナビニュース / 2024年9月12日 15時8分

サマリウム化合物を低温で緻密化でき、なおかつ磁化低下を引き起こさない焼結助剤の探索が行われた。従来あまり検討されてこなかった周期表第二族に属する元素を含有する合金が着目され、その結果、条件を満たす合金が発見された。この焼結助剤合金は展延性を有するため微粉化は困難だが、粉砕条件を最適化することで微粉化が実現された。そして、その適切に微粉化された焼結助剤合金とサマリウム化合物の粉末を均一化した混合粉末に対し、結晶の向きを一方向にそろえるようにして焼結するプロセスが開発され、高密度化したサマリウム永久磁石の作製に成功したとする。

焼結助剤なしと、今回の焼結助剤を添加して焼結させたサマリウム磁石の断面を電子顕微鏡で撮影して比較が行われた。前者の場合はサマリウム化合物粒子同士が寄せ集まっているだけで、多くの空隙がまだ残存していることが見て取れた。その一方で、後者の場合はその空隙が大幅に低減され、緻密化が促進されていることが確認されたとした。

次に、焼結助剤なしと、今回の焼結助剤を添加して焼結させたサマリウム磁石の磁化曲線を比較すると、今回開発された手法によって残留磁化が10%以上向上し、最大エネルギー積では20%以上の向上が達成された。これは、永久磁石としての特性、とりわけ磁化を向上させるためには、多くの粉末を単位体積当たりに高充填することで、永久磁石相(サマリウム化合物の粉末)を増加させることが有効と判明。今回開発された焼結助剤によって、高密度化が実現された。

これにより、サマリウム化合物が有する永久磁石としての高いポテンシャルの1つが引き出され、耐熱性が要求されるEVなどのモーター用磁石への展開へ一歩前進したとする。研究チームは今後、磁石性能をさらに高めるために、原料となるサマリウム化合物の磁粉開発や配向性向上のためのプロセス設計も検討中とする。引き続き、ポストネオジム磁石として、高耐熱用途で最適な高性能永久磁石の開発を目指すとしている。
(波留久泉)



この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください