社内の常識をkintoneで変えた興和工業所、情シス“伴走支援班”の挑戦とは
マイナビニュース / 2024年9月13日 11時0分
しかし、課題もあった。それは、社内の良い活用事例が共有されておらず、社内ユーザーの交流が少ないこと。また、大半は人が作ったアプリを使っているだけのユーザーだった。
「もっともっとkintoneで業務改善してほしい」(片山さん)との思いで、情シス部門内に「伴走支援班」が2023年11月に誕生した。伴走支援班の目標は、誰でも主体的にシステム化できる土壌を作ること。全社でkintoneの知名度を上げ、個別支援を積極的に実施し「いずれは支援も不要にすることが目標」(片山さん)だ。
同チームはまず、kintoneの知名度を上げるために、kintone活用者へのインタビュー記事を社内に発信した。2時間のインタビューと1カ月に及ぶ記事作成を実施。アプリ作成者の経歴や作成したアプリの情報、他の人へのアドバイスなどを記事に盛り込んだ。
反響は大きかった。「あれならうちでも使えるかもしれない!」「○○工場にも説明会に来てください」といった声が情シスに届き、そして「実際にアプリを使ってみたいです」といった要望も届いた。伴走支援班はお試しアプリを作成し、全社で使えるようにした。
興味を持ってくれた人に対しての支援は手厚く行った。kintoneの3カ月分のトライアル費用を情シスが負担し、まずは気軽に試せる環境を整えた。「触る時間がないから導入してもすぐには効果が出せない。上司に納得してもらえない」という人に対しては、サンプルアプリ作成の代行も行った。「最初に利用料分の実績を出してもらうように支援しました」と片山さんは振り返る。
社内でkintoneの知名度はうなぎ登りに上がっていった。情シスが実施した社内ユーザー会では会場を埋め尽くすほど大盛況ぶりで、初心者向けの講習会に応募する人も増えていった。
伴走支援班による半年間の活動、その効果は?
伴走支援班による半年間の活動は、どのような成果を上げたのだろうか。
アカウント数は170と1.4倍になり、アプリ作成ユーザー数は28人と約2倍になった。また、実運用アプリも300と約1.5倍になり、部・工場が主体となって作成した実運用アプリは
98にも上る。活動前にkintoneを活用していた拠点は8つしかなかったが、伴走支援班の支援により20拠点まで増えた。
社員からもさまざまな声が寄せられ、「新しい興和工業所の幕開けを感じた」というコメントもあったという。
「『誰でも改善できる』はあらゆる人の希望になるはずです。今までなかった、あるいはコロナ禍でなくなった交流の場をkintoneで実現していく。組織を超えて助け合える会社へと成長していきたいです」(片山さん)
(早川竜太)
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