1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. IT
  4. IT総合

東大など、電子と陽電子からなる最軽量原子「ポジトロニウム」の冷却に成功

マイナビニュース / 2024年9月13日 18時50分

東大の吉岡准教授らの研究チームが取り組んできたのが、極めて短時間のうちにレーザー光の波長を変化させる技術。約2億分の1秒(約5ナノ秒)ごとに強い紫外線の光を放つというもので、そのフラッシュごとにポジトロニウムの減速にあわせて波長が変化する仕組み。この方式のレーザー冷却を用いることで、同原子の多くが対消滅する前に急冷できるものと考えられたという。

そして、ポジトロニウムの速度を測定した実験が行われ、その結果、時々刻々と波長が変化する光によって高速の同原子が減少し、これまでに観測されたことのない非常に低速なものへと効率よく冷却されたことが証明されたとした。さらに、シミュレーションによると、この特別なレーザー光によって、今回の実験結果には観測が難しいほどに低速な、ほとんど静止した成分があることも示されており、1ケルビン(約-272℃)という冷却限界に迫る従来よりも桁違いの低温を実現できたとする。

今回の研究では、三次元空間の速度分布のうち、一次元分のレーザー冷却が実証された。今後、これを三次元のレーザー冷却に拡張することで、精密分光学に沿った研究を推進できるようになるという。具体的には、素粒子物理学の標準理論の重要な一角をなす量子電磁力学の精密な検証、反粒子の質量の正確な測定、反物質に働く重力の効果の測定などが実現できるとする。また、ポジトロニウムの密度を高めることで、反物質を含む集団の「ボース・アインシュタイン凝縮」の観測や、宇宙誕生後の反物質の振る舞いの理解につながる可能性もあるとした。今回の研究は、反粒子を含む「原子」を用いた精密物理学という、工学、光科学、素粒子物理学を網羅する学際分野の発展のための大きな第一歩としている。
(波留久泉)



この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください