1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. IT
  4. IT総合

近大など、卵子に精製DNA溶液を注入することで人工細胞核の構築に成功

マイナビニュース / 2024年9月13日 19時15分

次に、ヌクレオソームを形成していることの指標となるタンパク質である「RCC1-EGFP」について、ライブセルイメージングによる確認が行われた。さらに、別のヌクレオソーム結合プローブである「JF646-LANA」も用いての確認も実施された。その結果、注入DNA上でそれぞれのタンパク質のシグナルを検出することに成功。以上の結果から、マウス卵内への注入DNAは、ヌクレオソームを形成していることが確かめられた。

核輸送は、核膜上に多数点在する穴である「核膜孔複合体」を通じて行われる。つまり、注入DNAが核輸送能力を獲得するためには、核膜と核膜孔複合体を形成している必要がある。これらの構造の有無を確かめたところ、電子顕微鏡により、注入DNAの周囲に本物の核と酷似した核膜と核膜孔複合体が観察された。

さらに、核膜孔複合体を構成するタンパク質や核膜タンパク質が存在するのかどうかが、免疫染色により確認されると、注入DNAを取り囲むように、それらの存在が観察されたという。また、核膜孔複合体を構成するタンパク質がライブセルイメージングで観察された結果、DNA注入直後は認められなかったが、時間経過と共に観察され、注入DNAが核膜孔複合体を獲得する様子が捉えられたとした。

最後に、作製された人工細胞核が核輸送能力を有するのかどうかを確認するため、蛍光タンパク質を付加した核局在化シグナルが人工細胞核に入るかどうかが観察された。その結果、蛍光タンパク質が人工細胞核内に流入することが確認された。この蛍光タンパク質を取り込んだ人工細胞核に対して核輸送阻害剤が添加されたところ、蛍光タンパク質の流出が見られたという。さらに、核輸送に関与するタンパク質「Ran」が人工細胞核に存在していたことから、研究チームは、核輸送能力を有する人工細胞核を構築できたと結論づけたとした。

研究チームは今後、さらに研究を進展させて完全な人工細胞核を作製できれば、絶滅動物の復活や人工的な生命の創生などにつながることも期待されるとしている。
(波留久泉)



この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください