理研と東大、「スキルミオン」を電流で自由に駆動できることを実証
マイナビニュース / 2024年9月20日 20時53分
しかし今回の実験では、十分に大きい電流密度においてトポロジカルホール効果が完全に消失したとする。これは伝導電子からスキルミオンの運動を見る基準系では、同磁気渦が静止して見えること、つまり同磁気渦と伝導電子が同じ速度で移動していることが示されており、ガリレオ相対性を想起させるとした。
研究チームはこの実験結果を受けて、伝導電子速度の平衡分布がどのように決定されるかが再考され、超伝導発現機構を検討した過去の研究を参考に、エネルギー最小化原理が重要な役割を果たしている可能性に気が付いたとする。同シナリオは、伝導電子の典型的な平均自由行程がスキルミオンのサイズ(今回の物質は約2.5ナノメートル)よりも大きい場合に可能で、同磁気渦の運動が伝導電子のペースメーカーとして機能し、伝導電子は速度を調整してエネルギーを最小化するという。そこで研究チームは、この概念を「創発的ガリレオ相対性」と命名した。
今回の研究により、Gd2PdSi3において電流を用いてスキルミオンの運動を誘導し、同磁気渦をほぼ自由に駆動できることが実証された。これは、同磁気渦の運動を創発電磁気学によって理解するという、長年の課題を達成したものだという。また、トポロジカルホール効果の測定は、磁気構造の運動を研究する有効な手法であると共に、他の物質にも応用できる可能性があり、スキルミオンの研究に貢献することが期待できるとした。さらに、「創発的ガリレオ相対性」という新しい理論的枠組みと概念は、スキルミオンだけでなく、より一般的に電荷密度波・スピン密度波を伴うシステムの電流誘起ダイナミクスにも適用できる可能性があるとする。
今回の研究成果は将来的に、スキルミオンの動きを電気的に制御したり、読み出したりする技術として、コンピュータなどでの新技術の開発に役立つことが期待されるとしている。
(波留久泉)
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