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熊本大、急激な貧血が生じた時に赤血球を増やすための新たな仕組みを発見

マイナビニュース / 2024年9月24日 20時28分

次に、貧血になったマウスの骨髄内に存在する脂質や関連するタンパク質の分析が行われた。その結果、VLDLが減る代わりにVLDL中に含まれる「アポリポタンパク質E」(ApoE)が急速に増えることが確かめられた。ApoEがない遺伝子改変マウスを貧血に誘導しても造血幹細胞は赤血球を作りやすくなることはなく、貧血に反応していなかったという。

続いて、より詳細な遺伝子機能の解析が行われた。すると、ApoEがVLDLRhigh造血幹細胞に作用すると、遺伝子(転写制御因子)の1つで、血管新生や炎症、細胞の増殖・分化を制御することや、造血幹細胞の機能および血小板産生に重要な役割を果たすことが知られている「Erg」の働きが弱まっていたとする(その結果、相対的に赤血球が作りやすくなる)。人工的に合成したApoEを与えたり、Ergの働きを弱めると、健康なマウスの造血幹細胞でも赤血球を作りやすくなったとした。これらのことから、急激な貧血が起こるとVLDLからApoEが放出され、造血幹細胞のうち、VLDLRhigh造血幹細胞だけに作用して赤血球をより多く作れるように変化させていることが考えられるとした。

エリスロポエチンは薬剤として貧血治療にも使われているが、患者の中には同薬剤の効果が低い人もいるという。また、貧血の治療には鉄剤の投与や輸血なども用いられているが、頻繁な鉄剤投与や輸血は鉄の体内沈着を起こし、別の病気を起こすことも知られている。今回の研究の成果は、従来知られていた赤血球生産の仕組みとは異なる機序が存在することが示されており、これまでの治療法で十分に効果が得られなかった重度の貧血患者に対する新たな治療法の開発につながることが期待されるとしている。
(波留久泉)



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