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北大、冬眠するほ乳類が持つ長時間の低温に耐えられる細胞の秘密を解明

マイナビニュース / 2024年9月24日 20時29分

がん研究で、Gpx4以外にもフェロトーシス抑制遺伝子が発見されていたことから、今回はその中の「FSP1」、「Dhodh」、「Gch1」の3つが着目された。ところが、ハムスター細胞の各遺伝子を個別に破壊して4℃で培養しても、細胞死には影響がなかったとする。しかし、それらの遺伝子が破壊された細胞に対し、同時にGpx4タンパク質の働きを止める薬剤を加えて4℃で培養すると、2日間で細胞死が増加することが確認された。これらの結果から、FSP1、Dhodh、Gch1はいずれもGpx4遺伝子と協力して、ハムスター細胞の低温耐性を支えていることが予測された。

さらに、ヒト細胞でGch1の働きを増強させると、Gpx4と同様、低温による細胞死を抑え、生存率が飛躍的に高まることも判明。Gch1から作られるタンパク質は、抗酸化作用物質「ビオプテリン」を作り出す働きをする。そこで最後に、がん細胞以外の正常な細胞への効果が検証された。冬眠しないほ乳類であるマウスから取り出された肝臓細胞を低温培養する際に、ハムスターのGpx4を導入して働かせると同時に、ビオプテリンが培養液に加えられた結果、両者は相乗的に細胞の低温での生存率を高めることが明らかにされた。

今回の研究により、ハムスター細胞の低温耐性を支える4種類の遺伝子が発見された。それらは、ヒトなども持っており、冬眠しないほ乳類の細胞でも低温耐性を高められることも確認された。今回の研究成果を応用すれば、臓器移植の際に摘出された臓器の低温保存期間を延長することなどに期待できるという。一方で、これらの遺伝子はがん細胞の増殖や生存にも必要な遺伝子であるため、慎重な検討が必要とした。

その一方で、4種類の遺伝子はほ乳類共通にも関わらず、なぜ冬眠ほ乳類と冬眠しないほ乳類の低温耐性に違いが出るのかは、まだ謎のままであるため、今回の成果が、その解明の手掛かりになることが期待されるとしている。
(波留久泉)



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