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名大、生息環境を汚さず生存率を上げるフンをしないオタマジャクシを発見

マイナビニュース / 2024年9月26日 20時3分

次に、便に含まれるアンモニア濃度が注目された。幼生の腸内容物を解剖によって取り出して蒸留水に懸濁した後、アンモニア濃度を測定。そして、他のカエル(ニホンアマガエル、ヤマアカガエル)との比較が行われた結果、アイフィンガーガエルの幼生の腸内には他種に比べて、むしろ高い濃度のアンモニアが便として蓄積されていることが判明したという。これらのことから、アイフィンガーガエルはアンモニアを多量に含んだ便を腸内に溜め込み、体外に排出していないことが考えられるとした。

さらに、アイフィンガーガエルの幼生が、環境中のアンモニアに対し、どれほどの耐性を持つのか調べるため、アイフィンガーガエルの幼生とニホンアマガエルが、さまざまな濃度の塩化アンモニウム水溶液中で飼育され、生存率の比較が行われた。すると、アイフィンガーガエルの幼生はアマガエルの幼生が生存できないアンモニア濃度(50mM塩化アンモニウム)でも、ほとんどが死亡しなかったことから、他のカエルに比べて環境中のアンモニアに高い耐性を持つことがわかったという(ただし、さすがに高濃度のアンモニアでは死亡してしまうことも明らかにされた)。限界はあることから、高濃度のアンモニアでの死亡を避ける上で、排便を行わないという行動は有利に働くと考えられるとした。今回の研究により、アイフィンガーガエルの幼生は、排便を減少させ、さらに環境中のアンモニアに対しても高い耐性を持つ、という2種類の戦略により、小さな水場に適応していることが示されたとする。

アイフィンガーガエルは亜成体(カエルの姿)になった直後に、はじめて排便する。これは、小さな水場にエサとして持ち込まれた窒素が水場に排出されることなく、最終的に外に運ばれることが示されている。このような衛生戦略は、いくつかのハチやアリの幼虫が変態するまで腸内に糞便を保持し、狭い巣を清潔に保つといった行動と類似しているという。閉鎖的で小さな環境で、同種の個体、特に兄弟姉妹と一緒に成長することは、ユニークな衛生戦略の進化を促進するものと示唆されるとしている。
(波留久泉)



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