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産総研など、水素とCO2から水素キャリアのギ酸を直接合成する技術を開発

マイナビニュース / 2024年10月1日 6時51分

水素とCO2から直接ギ酸を合成するためには、高効率でギ酸を生成するだけでなく、生成されたギ酸が分解して水素とCO2に戻ってしまう反応を抑制する必要がある。今回の開発での重要な発見は、有機金属錯体の「イリジウム触媒」の存在下で、各種溶媒中でギ酸が水素とCO2に分解し、高圧ガスが生成される速度を測定した際に、溶媒によってその速度が大きく変化することが見出されたことだったという。

中でも、分子内にフッ素原子を6個含む化学式(CF3)2CHOHで表されるアルコール「ヘキサフルオロイソプロパノール」(HFIP)中では、ギ酸の分解速度が水中の場合と比べて2分の1に遅くなることが判明。しかも、高圧ガス生成も水中では37.9MPaであるのに対し、HFIP中では1.20MPaと約32分の1の圧力しか出ないことも明らかにされた。一方、ギ酸の合成については、水の場合よりHFIPの場合の方が水素とCO2からの反応中間体(イリジウムヒドリド錯体)の生成速度が4倍速く、全体としてギ酸の生成速度が1.5倍以上速くなり、ギ酸の生成量も3.5倍多いことが確認された。

今回開発された技術と、これまでに研究チームが開発してきた技術(圧縮機を使わない高圧水素連続供給法およびフロー式によるギ酸からの連続発電)を組み合わせることによって、研究室レベルではあるが、CO2を排出せずに循環させ、ギ酸を水素キャリアとして使用するシステム(水素をCO2と反応させてギ酸へと変換して貯蔵し、そのギ酸から高圧水素を製造し、さらに副生されたCO2を回収し、それを用いてギ酸を合成する)のコンセプトが実証できたとする。研究チームは今後、開発した技術のベンチプラントスケール、パイロットスケールへのスケールアップを行い、2030年の社会実装に向けて実証実験を進めていく予定とした。

またギ酸は現在、今回扱った合成法だけでなく、電気化学的な合成法や、バイオマスやバイオガスからの合成法など、さまざまな合成技術が開発されている。将来的には、それらの技術で合成されたギ酸も含めて水素キャリアとして利用するシステムの構築も目指していくとしている。
(波留久泉)



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