青色LED上にペロブスカイトナノ結晶膜を形成した高輝度赤色変換LED、山形大が開発
マイナビニュース / 2024年10月2日 21時6分
山形大学は10月1日、InGaN系半導体による青色LED上にメタクリレート系ポリマーバインダーに分散したペロブスカイトナノ結晶膜を形成した波長変換(色変換)型LEDを作製することで、赤色ナノ結晶LEDにおいて高い発光効率(外部量子効率)とデバイス寿命を維持しつつ、高輝度化にも成功したことを発表した。
同成果は、山形大大学院 理工学研究科の横田大輔大学院生、同・齋藤心護大学院生、同・大音隆男准教授、同・大学院 有機材料システム研究科の阿部遥大学院生、同・柳橋健人大学院生、同・千葉貴之准教授らの共同研究チームによるもの。詳細は、米国物理学協会が刊行する応用物理学全般を扱う学術誌「Applied Physics Letters」に掲載された。
液晶・有機ELに続く次世代ディスプレイとして、微小な光の三原色(RGB)のマイクロLEDを二次元的に集積するマイクロLEDディスプレイが注目されているが、青ならびに緑色LEDに用いられるInGaN系半導体に対し、赤色LEDに用いられるInGaP系半導体はデバイスサイズの縮小に伴う効率低下や温度特性が課題となっている。また、マイクロLEDディスプレイとして製造する場合、材料系が異なるためそれぞれのLEDを個別に製造し、それをロボットなどを用いて精密に並べていく必要があるため、製造コストが高いという課題もあり、RGBの一体集積化による低コスト化が求められているが、InGaN系LEDは赤色の高効率化で材料的な壁に直面しており、有効な解決法を見出せていなかったという。
そうした中、近年、可視光LEDの材料として「金属ハライドペロブスカイト(CsPbX3、XにはCl、Br、Iが入る)ナノ結晶」が注目されるようになっているという。同結晶はホットインジェクション法などの簡便な手法で作製でき、ハロゲン原子Xの組成比によって可視光全域で発光可能で、単色性と発光量子収率が高い材料として知られるほか、塗布印刷法による膜形成も比較的容易とされる。ただし、電流注入による素子劣化が生じるため、素子寿命は長くても数百時間程度であり、駆動電流密度も低いという応用上の課題を抱えていたことから、研究チームは今回、InGaNを用いた青色LEDとペロブスカイトナノ結晶の塗布プロセスを組み合わせることで、RGBで発光する素子を同一基板上に一体集積化できる波長変換型構造に着目することにしたという。
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