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産総研、ペロブスカイト太陽電池の自動作製システムを開発し研究加速に貢献

マイナビニュース / 2024年10月3日 7時2分

ペロブスカイト太陽電池の研究開発において、新材料や新プロセスの効果の初期評価では、一般的に面積1cm2程度の小さな太陽電池セルを用いる。しかし同太陽電池の作製においては、構成材料の変更はもちろん、各工程の作業時間や細かな物質量の変動で性能のばらつきが生じるため、人手による作業を経た太陽電池の評価のためには多くのセルを作製し検討する必要があった。

しかしそれらの工程を自動化できれば、人為的な要因が排除され性能のばらつきが抑制されるため、材料やプロセスが与える影響をより正確に把握し、最適な条件の探索が効率的に行えるようになる。また作業スピードの向上にも効果的とのことで、村上氏は、新システムの活用によって1日あたり従来の10倍以上ものセル数をさまざまな条件で作製できるとしている。
○探索や評価も効率化し早期実用化を後押しへ

湿度1%以下のドライルーム内に構築されたペロブスカイト太陽電池自動作製システムは、2つの搬送室をそれぞれ取り囲むように各工程用の空間が並び、前半では電子輸送層(ETL)とペロブスカイト層の成膜など、後半では正孔輸送層(HTL)の成膜やパターニングなどが行われる。また基板の輸送はロボットが担い、各工程内での基板の移動もロボットが行う。なお各層の成膜はスピンコートで行われ、装置内のホットプレートで乾燥も実施。さらに滴下する溶液は12種類をセット可能で、設定条件に合わせて各溶液が自動で滴下される。

村上氏によると、これらの自動化により、ペロブスカイト太陽電池の作製における装置間の性能ばらつき(標準偏差)はおよそ35%低減されたとのこと。また、同システムでは基板が16枚入るセルホルダーを10枚までセット可能であり、あらかじめ工程に関する設定を入力することで、最大で160条件での作製を1度に行えるとした。

このようなセル作製の自動化により、新材料や革新的なプロセスの探索スピードが向上し、ペロブスカイト太陽電池の実用化が大きく近づく可能性がある。村上氏によれば、AIを活用したさらなる効率化をはじめ、作製されたセルの電力変換率評価を自動化するシステムの構築も進めているとのこと。産総研としては、こうした自動化の取り組みを進めることで、ペロブスカイト太陽電池の早期実用化と高性能化に貢献するとしている。
(鶴海大輔)



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