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惑星はトップダウンの過程で短期間に形成される可能性、アルマ望遠鏡で観測

マイナビニュース / 2024年10月4日 18時28分

画像提供:マイナビニュース

アメリカ国立電波天文台(NRAO)は10月3日、アルマ望遠鏡を用いた「ぎょしゃ座AB星」の原始惑星系円盤の観測により、若い同星の周辺に形成される渦巻き状の腕構造が重力の影響で生じていることが明らかになったと発表した。

同成果は、カナダ ビクトリア大学 物理・天文学科のジェシカ・スピーディー大学院生、米・ジョージア大学 計算宇宙物理学のカサンドラ・ホール准教授らの国際共同研究チームによるもの。詳細は、英科学誌「Nature」に掲載された。

これまでの惑星形成についての考え方は、若い恒星をとり巻く原始惑星系円盤の中で、数μmの塵から始まって、数千万年の長い時間をかけて徐々に集まり、ミリメートルサイズ、センチメートルサイズの「ペブル」となり、さらにそれらが集まってメートルサイズ、キロメートルサイズとより大きな塊へと成長を続け、最終的に微惑星、原始惑星を経て惑星になるという「ボトムアップ」理論が主流と考えられてきた。しかしこの理論では、個々の塊が小さすぎて重力が弱い段階において、どのように集積して成長していくのかがよくわかっておらず、これは「衝突破壊問題」と呼ばれ、ある程度の大きさの塊が衝突しても合体できず、互いを破壊してしまい、再び小さい塊に戻ってしまう問題として捉えられてきた。また、原始惑星系円盤の塵はガスとの衝突で運動速度が低下し、中心の恒星に早ければ100年ほどで落下してしまうという「中心星落下問題」もあるなど、そうした問題をどのようにクリアして惑星が誕生しているのか、詳しい解明が求められていた。

こうした問題を解決するためにボトムアップ理論とは異なる理論も登場するようになっており、惑星は原始惑星系円盤で起こる重力不安定性のために渦巻き構造の腕が分裂して「トップダウン」の過程で短期間に形成されるとする考え方も唱えられるようになっている。

そこで今回、研究チームは、特徴が良く知られており、生まれてからの年齢が400万年程度と推定されているとても若い天体で、太陽の2.4倍の質量を持つぎょしゃ座AB星を取り囲む原始惑星系円盤を観測し、トップダウン理論を支持する観測的な証拠を探すことにしたという。

アルマ望遠鏡は近年、人間の視力でいうとそれまでの6000から倍の1万2000にまで性能向上がなされた。この高い感度と高い速度分解能によって原始惑星系円盤などの奥深くに存在するガスを探ることも可能となったことを受け、今回の観測ではガスの動きを高精度で計測することに成功したとする。

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