惑星はトップダウンの過程で短期間に形成される可能性、アルマ望遠鏡で観測
マイナビニュース / 2024年10月4日 18時28分
ぎょしゃ座AB星の原始惑星系円盤内には、現在形成が進んでいると推測されている原始惑星がすでに数個発見されている(その中には、木星の9倍という重たい原始惑星も存在する)。この原始惑星たちは、中心星の周りを反時計回りに回っているはっきりとした渦巻き構造の腕の中に、塊状のものとして観測されている。ボトムアップ理論が正しいのなら、原始惑星ができるには数千万年が必要であり、ぎょしゃ座AB星が誕生しておよそ400万年という時間ではとても短く、この観測的事実の説明がつかない状態だったという。
研究チームのホール准教授らは2020年に原始惑星系円盤や惑星の形成に関するシミュレーションを実施。その結果、重力不安定説に太鼓判を押すことができるような兆候が存在することを予測していたとする。重力的に不安定な円盤は、安定な円盤とは異なり、速度場内に独特の揺らぎを持つことが特徴だという。そこで今回の観測では、ぎょしゃ座AB星の原始惑星系円盤の巨大な渦巻き構造の腕がどのように運動しているのか、その兆候が存在するのか否かが調べられた。
アルマ望遠鏡は、原始惑星系円盤内部の視線方向(観測者であるアルマ望遠鏡から見てその天体の方向)に沿ったガスの速度と位置をマッピングした三次元のデータキューブを作成することが可能であり、その断面図を綿密な考察に基づいて解析することで、重力不安定性の証拠となる速度の小刻みな変化を明確に同定することに成功したと研究チームでは説明しており、このような大局的な渦巻き構造と速度パターンを形成するメカニズムは、重力不安定性のほかには考えられないとしている。
なお、研究チームは今回の観測結果に基づけば、重力不安定性が実際に起きていることがはっきりと示されており、これまで主流とされてきたボトムアップ理論か、それともトップダウン理論か、惑星誕生の過程を理解する新たな手がかりが得られたとしている。
(波留久泉)
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