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日本精工、ボールねじの動摩擦トルクと発熱を低減した低フリクションボールねじを開発

マイナビニュース / 2024年10月7日 6時45分

画像提供:マイナビニュース

日本精工(NSK)は10月4日、ネジ軸の回転運動を直線運動に変換するために用いられ、加工工具やワークの直線方向の精密な位置決めなどに用いられるボールねじとして、低フリクションボールねじ「MT-Frix」を開発したことを発表した。

近年、工作機械は、より精密な加工を実現したいというニーズと、低炭素社会実現に向けた省エネ化ニーズの両立が求められるようになっている。このうち、高精度化を実現するためには、ボールねじの駆動に伴う発熱により、軸が伸びてしまい、位置決め精度が低下するという課題を克服する必要があった。一方の省エネ化については、ボールねじのトルクが大きいと回転するためのモーターの消費電力が増加するという課題を克服する必要があり、いずれもボールねじが回転する際に発生する摩擦によるトルク(ボールねじの動摩擦トルク)に起因する問題であるという。

例えば発熱に伴う変形に対しては、強制的に冷却することで金属の熱変形を抑えることが可能だが、冷却装置を用いる必要があり、消費エネルギーの増大が伴うため、2つのニーズの解決には結びつかない。強制冷却以外の動摩擦トルクの低減策としては、予圧(剛性)を下げるという手法が用いられてきた。これは、あらかじめボールねじのボールをつぶしておくことで、荷重がかかった際の変化量を減らしておこうというもの。ただし、予圧が高い工作機械のようなものの場合、高い加工精度を維持するためには高剛性である必要があり、結果として発熱が大きくなり、トルクも増加してしまっていた。

今回、同社ではボールねじの動摩擦トルクの増加原因を探ることで、剛性を維持しながら、動摩擦トルクの低減を図ろうという試みを実施。具体的には、ボールが溝を転がる際に発生する摩擦が動摩擦トルクであり、ボールと溝の接触状態を可視化する必要から、2021年ころから開発に導入した同社のデジタルツイン手法「リアルデジタルツイン」を活用することで、ボールと溝の接触状態を高精度に解明することに成功。予圧(剛性)を維持しつつ、動摩擦トルクの低減に最適な内部仕様を開発することで、低フリクションボールねじであるMT-Frixを実現したとする。

この結果、従来と取り付け互換かつ剛性同等の場合で動摩擦トルクを従来比最大50%低減することに成功。また、動摩擦トルクが低減したことで、ボールねじが駆動する際の発熱も約40%低減することにも成功したとする。

さらに発熱が低減したことで、従来品に対して軸の伸び量を最大40%低減することができ、位置決め精度の誤差を低減。これにより、補正制御による精度補償が容易になるほか、機台や周辺部品への伝熱が小さくなり、工作機械としての熱変形も低減できるようになったという。

ちなみに同社でボールねじ一本あたりのカーボンフットプリントについての動摩擦トルクによるCO2排出量を従来品(一般的なボールねじサイズ)に対して使用期間5年で試算したところ、最大50%削減できる結果を得たともしている。

なお、同社ではMT-Frixを2025年4月より受注を開始し、同年度内から出荷を開始する予定。売上高については2027年に5億円を目指すとしている。
(小林行雄)

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