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カーエレクトロニクスの進化と未来 第164回 車載カメラ映像の伝送規格MIPI A-PHY準拠のValens製IC、欧州自動車メーカー3社が採用

マイナビニュース / 2024年10月8日 7時30分

なぜValensのSerDesチップはこれほどまで低いBERが得られたのか。他社との差別化のカギは、デジタルのDSP(デジタル信号処理プロセッサ)を使ったことだとBen-Zvi氏は言う。クルマの伝送線路内では、1、0信号をある程度、固まりに束ねたパケット単位で送るが、ValensのSerDesは受け取る側でパケットごとに信号を処理する。パケットごとにノイズを打ち消し合うようなアルゴリズムをDSP回路で処理するのだという。パケット内のデジタルパルスは歪むため、その歪をうまく打ち消し合うようなアルゴリズムで歪を除去することになる。

これまでのアナログ方式では例えば、周囲環境のノイズの位相を90度ずらすとノイズを打ち消し合うことができるが、おそらくこのアルゴリズムでも、実質的に位相をずらしているのではないかと思われる。位相をずらすアルゴリズムがデジタル方式で行っているのではないだろうか。

VA7000シリーズをサンプル出荷してから2年でクルマに採用が決まったことは、これまでのスピードから見て速いという。クルマ業界では、Valensのような小さな企業はよほど他社との差が開いていなければ採用しないからだとBen-Zvi氏は言う。クルマ業界は安全第一であるからこそ、新しい技術の採用には慎重である。

ただ、SerDesのようなホストのSoCやCPUとカメラのCMOSセンサのような端末をつなぐIC製品メーカーは、SoCやイメージセンサメーカーともコラボレーションすることが欠かせない。MIPIインタフェースを利用するMIPI Alliance(図2)には多数の会員がいるため、サプライチェーンからユーザーまで、仲間同士の人脈ネットワーク形成も重要なビジネス上の仕事となる。

今回のVA7000シリーズではデータレートが16Gビット/秒と高速だが、カメラなどからの映像の解像度をもっと上げたり、フレームレートをもっと上げたりするような応用が求められるようになるだろう。Valensは10月1日にマシンビジョン用の製品も発表しており、また、MIPI Allianceは次の32Gビット/秒規格の標準化仕様A-PHY v2.0も9月下旬に発表しており、さらなる高速化に対応する準備が出来つつある。
(津田建二)



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