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東大など、第3の磁性体「交替磁性体」のマグノンスペクトルの観測に成功

マイナビニュース / 2024年10月10日 19時10分

このことから、交替磁性体のマグノンを直接観察することは、その物質が交替磁性を有するか否かの判定のためと、デバイス応用の可能性を探るための両方の意味で重要だという。しかし、交替磁性体の候補物質は数多くあるが、これまでマグノンの観測には成功していなかったとする。そこで研究チームは今回、交替磁性のマグノン分散を観測するため、交替磁性候補物質「テルル化マンガン」(MnTe)を分析することにしたという。

MnTeは、磁性が観測されやすいMnイオンを含んでおり、かつ、交替磁性の特徴の1つである電子バンドの「スピン分裂」(スピンの上向きと下向きがそれぞれ異なるエネルギーを持ち、電子のスペクトルが分裂していること)が光電子分光実験で報告されていたため、マグノンのキラル分裂の観測にも適切であろうと予想された。

非弾性中性子散乱実験により、中性子スペクトルでは、が観測された30meV以上の高エネルギーで、約2meVのマグノン分裂が観測された。一方、低エネルギーの小さな運動量領域の周りのマグノン分散は、反強磁性体に似て、直線的に立ち上がっていたとする。それらは、交替磁性体の存在を示す重要な証拠だという。

また、別の運動量領域での高エネルギースペクトルが調べられたところ、分裂したマグノン分散が運動量軸に沿って交替に伝播している様子が明瞭に観測されたとした。さらに、マグノン分散が計算された結果、観測された中性子スペクトルを完全に再現したとする。

加えて、反時計回りのキラリティと時計回りのキラリティ、低エネルギーでは2つのキラリティが打ち消しあうが、高エネルギーでは2つのマグノンは異なるキラリティを有し、それぞれが明瞭に確認され、キラリティが交替的に変化することも確認されたことから、観測されたマグノンはスピン流を運ぶキラルマグノンであることが判明したと研究チームでは説明している。

なお、今回の研究からキラルマグノンの存在が実証され、それによってスピン流生成をもたらすことが明らかとなったことから研究チームでは、今回の発見により、将来的にはより高速で効率的な電子デバイスが実現する可能性があるとしている。
(波留久泉)



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