量子重力理論では「十次元空間における膜」だけが特別な存在、静岡大が確認
マイナビニュース / 2024年10月15日 16時59分
電子のような荷電粒子と、N極またはS極だけの磁荷を持つ粒子である「モノポール」(磁気単極子)が共に存在する理論では、「電磁双対性」という性質を持つことが明らかにされており、このような性質は、理論的整合性から矛盾のない量子重力理論では不可欠だと考えられている。
ちなみに、現時点でモノポールは発見されていないが、宇宙誕生直後に大量に生成されたと考えられており、その後、宇宙の膨張と共に拡散してしまったため、現在も広大無辺の宇宙のどこかにはあるはずだが、極めて発見することが難しくなっているという。
また、電磁双対性には、「自己双対型」と「非自己双対型」の2種類があり、電子とモノポールの関係は非自己双対型となる。今回の研究では、スケール不変性を満たす物体のうち、どの物体が「非自己双対型電磁双対性」を満たすのかが調べられており、その結果、そのような物体は“十次元空間における膜”に限られることが突き止められ、これはこのような膜の理論が、量子論的に非常に特別であることを意味すると研究チームでは指摘している。
実は、以前から十次元の膜は超弦理論において、重要な役割を果たすことが知られていたという。それは「十次元の膜の理論が、超弦理論の起源になっている」という「M理論」と呼ばれる予想によるものであり、実際、十次元空間のうち、1つの空間が小さく丸まっていると、その空間に巻き付いた膜は、九次元空間における弦と見なすことができるという。
今回の研究により、十次元の膜だけが“スケール不変性”と“非自己双対型電磁双対性”という量子論で重要な性質を満たすことが解明されたこととなるが、これはM理論を含めた超弦理論が、量子重力理論において特別な理論であることを改めて強調するものだと研究チームでは説明しており、これにより、M理論や超弦理論の重要性がさらに増したと考えることができるとする。また、“スケール不変性”と“電磁双対性”という性質は、量子重力を理解する上で重要な鍵となっている可能性もあるともしており、今後は今回のような研究をさらに進展させることで、宇宙の起源のような、我々の宇宙のより深遠な側面の解明につながるかもしれないとしている。
(波留久泉)
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