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ぶつかり合うことで人間ドラマが生まれる、文芸編集部のお仕事漫画『書くなる我ら』北駒生先生インタビュー

マイナビニュース / 2024年10月22日 11時10分

――第1巻に収録されているエピソードの中で、北先生がお気に入りのシーンは?

やっぱりコミュニケーションによって、新しい可能性が開かれていくシーンですね。芥川賞受賞作家で前科者の六波羅睦と、彼が服役中に関わった弁護士とのエピソード (第4話「前科者の場合」)をはじめ、人と人との関わり合いで生まれたものを描く時は、やっぱり胸が高鳴るところではあります。

――本作の準備に長らく時間をかけたと北先生のブログに書かれていました。連載開始までにどのような準備を行っていたのでしょうか。

キャラクターたちが「生きている」と実感を持てるようになるまで、プロットやネーム、イラストボードなどを書き続けましたね。期間でいうと、半年以上でしょうか。プロットノートは、連載までに2〜3冊は書いたと思います。

明日4日のお昼にもう最新話の更新です。描きたかったキャラクターの話です。またお知らせにまいります次は原稿のなかに水彩を使えないかな、とスケッチブックに試し描いていた第1話のイメージ絵 このネームは去年の春に描いたからもう1年以上も経つのか… pic.twitter.com/QP96LRbVW9— 北 駒生「書くなる我ら」①巻 10/22発売 (@kitakoma0) July 3, 2024

でもこういった準備は、連載前に必ず行っているんです。キャラクターについて細かく考えるのは、自分の中では当たり前になっていますね。

――主人公・天城勇芽を描くうえで、特に意識した点はありますか。

先ほどの話と重なるのですが、文学をテーマにすると絵的に動きが少なくなるので、「何かと考え込んでしまう人にはしない」ということを一番に考えていました。結果的に、積極的で躍動感のあるキャラクターになりましたね。

ただ明るいだけでなく、その心の奥底では「作家の父はなぜああなってしまったのか」という後悔や怒りをずっと抱え続けていて。それが「作家に対して何か働きかけたい」という彼女の行動の動機になっているんです。彼女に妙に現実的な一面も、家庭が成り立たなかった過去があるからで。動きながら考える主人公を描くうえで、影の部分は切り離せない部分でした。

――今回、制作にあたって文芸誌『群像』(講談社)や『スピン』(河出書房新社)の編集部に取材されたそうですね。取材を通じて、どのようなインスピレーションを受けましたか?

自分の意見によって登場キャラクターの人生が変わったことに「これでよかったのだろうか」と真剣に迷われている編集者さんがいたり、作家さんがハードな状況に置かれているときにも「この作品は生まれたがっているから」と伴走し完成まで待ち続けた編集者さんがいたり。取材を通じて、作家さんへの静かな情熱を編集部のみなさんに感じました。それと同時に、「この漫画の表現を変えなければならない」と思ったんです。

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