東大生研、マイクロ流体工学の技術を半導体の熱整流技術に応用することに成功
マイナビニュース / 2024年10月18日 16時41分
作製されたテスラバルブ構造は、グラファイトの厚さが90nm、幅が4.5μmで、熱がグラファイト中のみを流れるようにするため、エアブリッジ構造を採用している。加熱源となる金薄膜をレーザーによって加熱すると、グラファイト構造を通ってヒートシンクに流れていく仕組みで、2つの構造の熱伝導率(κ)をさまざまな温度で測定することで、熱整流効果の観測が試みられた。
今回用いられた試料では、30~90K(約-243~約-183℃)付近の温度領域でフォノンが流体的な性質を示すフォノンポアズイユ流れを形成することがわかっている。今回の測定では、30~60K付近の領域で2つの構造で異なる熱伝導率が観測され、順方向の構造で高い熱伝導率を示し、熱が流れやすいことが判明したという。
また、45K(約-228℃)で熱整流効果が最も強く、順方向の構造の熱伝導率は、逆方向の構造の熱伝導率より15.4%高い値であることが確認されたともしており、この熱整流効果は、フォノンの流体的な性質が発現する温度領域でのみ観測されたとする。一方、流体的な性質を示さない温度領域では、その比は1であり、熱整流効果はなく、熱整流はフォノンの流体的な性質に起因することが突き止められたとした。
今回の研究から、流体で用いられているテスラバルブが、フォノンの流体的な性質を示す固体の熱整流にも適用できることが示されたほか、グラファイトが単なる放熱素材としての役割だけでなく、熱整流素子などの熱機能材料としても活用できる可能性が示されたことから研究チームでは今後、材料の高純度化や構造の改善などによって、フォノンが流体的な性質を示す温度領域を拡大することで、多種多様な電子機器の熱管理に広く利用されることが期待されるとしている。
(波留久泉)
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