挂甲の武人、踊る人々…“ハニワ界のスター”たちが空前規模で大集結! 特別展「はにわ」、東京国立博物館で開幕
マイナビニュース / 2024年10月22日 18時40分
「埴輪といえば、この2体を思い浮かべる人がほとんどだと思います。埴輪のアイコンとして認知されている最も有名なこの埴輪は、2022年10月に修理のために東博を離れ、今年3月に戻ってきました。久しぶりで表情が硬いですかね? いつも通りだと思うんですけど」と、担当学芸員の山本亮さん。
「最近の埴輪研究で、同じ古墳に立てらえた埴輪は、円筒部の高さを揃えていることがわかり、今回の修理では平均的なサイズに合わせて2体の高さを揃えました。また、久しぶりで恥ずかしいのか、顔が赤くなっているように見えますが、これはもともとの色。古い出土品は来歴を示すために土汚れを落とさないことがよくありますが、土汚れを落としたところ赤みの強い色が表れて、修理後はずいぶん赤ら顔になりました」(山本さん)
長らく“踊っている”と理解されていたこの埴輪ですが、実は最近の調査研究によって、“馬を引いている埴輪”説が有力となっています。埴輪は異なる種類を組み合わせてストーリーを表現するもので、たとえば狩人と鹿やイノシシの埴輪の組み合わせは、“狩り”を表現。そのため、組み合わせによっては踊っている場面を表現している可能性も捨てきれないそう。この「踊る埴輪」が来場者を出迎え、埴輪の世界へと誘います。
○史上初! 国宝「埴輪 挂甲の武人」と兄弟ハニワ5体が勢揃い
一番の目玉が第4章、史上初めて5体の「埴輪 挂甲の武人」が揃う大空間。同館が所蔵する国宝の「挂甲の武人」は、その勇壮な姿や気高い表情から“埴輪の造形美の極致”とされ、40年以上も切手のモチーフとして活躍。教科書に出てくる埴輪であり、映画『大魔神』のモデルにもなっています。頭から足先まで、これほど鎧を身に着けている埴輪は例がなく、非常によく似た5体の中で表現がより精緻なのが、この挂甲の武人。
4体は群馬県太田市から、1体は伊勢崎市から出土した5体の挂甲の武人は、同じ工房で作られた可能性が高いそうですが、矢入れ具など持っているアイテムが少しずつ異なっています。同館の挂甲の武人は足が鎧ですが、ほか4体は布製の着物。文様があしらわれているものもいれば、省略可されたものもいて、そうした違いを探していくのも楽しいですね。
「同館では約50年周期で『はにわ展』を開催しています。今回は準備に5年をかけ、120件以上の作品が揃いました。各博物館のエース級を惜しげもなくご出品いただき、奇跡的に開幕を迎えることができました。これだけの作品が揃うのは本当に大変なことで、おそらく私が生きているうちにもう一度これだけのものが揃うのは難しい。ありえるとしたら50年後、未来の研究員が国宝指定100周年記念の企画をたちあげて、これ以上の展覧会を開催してくれると期待しています」(河野さん)
“ハニワ界のスター”がこの規模で集結する次の機会は50年後……と思うと、これは見逃せない! 至高の埴輪たちが集結した特別展「はにわ」は、12月8日まで開催です。
■information
挂甲の武人 国宝指定50周年記念 特別展「はにわ」
会場:東京国立博物館 平成館
期間:10月16日~12月8日(9:30~17:00 ※毎週金・土、11/3は20時まで)/月曜休、ただし11/4は開館、11/5は本展のみ開館
料金:2,100円/大学生1,300円・高校生900円/中学生以下、および障がい者手帳提示の方および付添者1名まで無料
(佐々木 ヒサ)
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