マイクロ波ロケットの実現に向けたプラズマ観測手法、東北大が提案
マイナビニュース / 2024年10月23日 12時51分
その一方で、研究チームが独自開発した数値モデルを用いた一次元シミュレーションにおいて、低いビームパワー密度では連続的に進展する毎秒200mの電離波面が、高いビームパワー密度では離散的に進展する毎秒1400mの電離波面が得られたとする。同シミュレーションは一様なビームパワー密度で行われたが、実験ではビームの中心部ほどビームパワー密度が高まることから、仮に電離波面の中心部が連続的ではなく離散的に進展していて、中心部と辺縁部の進展様式が異なる複合的な構造である場合、上述のハイスピードカメラで得られた進展速度を説明できる可能性が考えられたという。そこで研究チームは今回、電磁波の干渉を用いて、電離波面の進展が連続的か離散的かを観測する新しい手法を提案し、その有効性を数値シミュレーションにより検証することで、数値モデルの妥当性を調べることにしたとする。
ミリ波放電プラズマの電離波面が連続的に進展する時は滑らかな波形となり、電離波面が離散的に進展する時は急激な波形の変動があるため、その違いから事前に進展様式を区別できることが予想され、実際の結果もその通りになったとした。
また解析の結果、波形の周波数は電離波面の進展速度に比例することが判明。離散的に進展する時には、進展速度に比例する周波数を持った時間変動波形に、さらに高周波な波形が重畳されており、その極大値や極小値のタイミングがプラズマスポットの形成タイミングと一致していることが確認された。このことから、時間変動波形から電離波面の進展様式が今回の手法で観測できる可能性が示唆されたとする。
なお研究チームでは今後、実際に放電実験を行い、今回の手法を適用して電離波面の進展の様子を観測する予定だとしており、今回提唱された「電離破面の中心部が離散的に進展している」という仮説を検証し、ミリ波放電現象を再現する数値モデルの開発につなげることを目指すとしている。
(波留久泉)
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