“映え”絵の元祖? 18世紀ヴェドゥータの巨匠、日本初の展覧会「カナレットとヴェネツィアの輝き」SOMPO美術館で開催
マイナビニュース / 2024年10月25日 12時27分
カナレットという名前の画家を聞いたことはありますか? 日本ではあまりなじみがありませんが、ヨーロッパではその名を冠した展覧会が定期的に開催され、主要な美術館に行けば必ず1点や2点は彼の作品に出会うほど著名な画家。現在、 東京・西新宿のSOMPO美術館で、18世紀のヴェネツィアで活躍し、“ヴェドゥータ”という絵画ジャンルを確立した巨匠、カナレットの日本初となる展覧会「カナレットとヴェネツィアの輝き」が開催されています。
ヴェドゥータというのは都市景観図、いわゆる景観画のこと。1697年、アドリア海に浮かぶ水上都市・ヴェネツィアに生まれ、その陽光きらめく都市景観を鮮やかに描き出したヴェドゥータで、その名を馳せたカナレット。ヴェネツィアの“絵になる”眺めや“映える”景色を写し取った「名所絵」は、とりわけグランド・ツアーでこの地を訪れた上流階級の英国人に愛され、旅の記念にこぞって買い求められました。特にジョゼフ・スミスという英国人のパトロンに恵まれたこともあって、今日カナレット作品の多くが英国に存在。なかでも最も多くのコレクションを有しているのが英国王室です。
「今年6月に天皇皇后両陛下が渡英され、バッキンガム宮殿を訪れたニュースを目にした際に、両陛下が日本の美術のコレクションをご覧になっている部屋の壁にはしっかり、カナレットの作品が飾られていました。このように現在にいたるまで、カナレットはイギリスとヨーロッパで愛されている画家。いっぽう日本では、西洋美術の展覧会のなかで数点、カナレットの作品を目にすることはあっても、その名前を冠し、彼の画業と生涯を真正面から検証し評価する展覧会は一度もありませんでした」と、担当学芸員の岡坂桜子さん。
“日本初のカナレットの展覧会”を謳う同展は、カナレットのヴェドゥータでベネツィアがどのように描かれてきたのか、いわばベネツィアを表象の歴史的な流れの中に位置づけ、俯瞰して見ようとする画期的な試みだと、その意義を強調します。
同展は、スコットランド国立美術館をはじめとする英国コレクションを中心に、油彩、素描、版画など約60点で構成。第1章ではカナレットに先立つベネツィア風景の先行例で、18世紀当時のベネツィアの雰囲気を味わいます。続く第2章が、最も重要なセクション。日本の美術館において、11点ものカナレットの作品がずらりと並ぶさまはとても貴重で壮観な眺め。ベネツィアを訪れた英国人旅行者たちの、「この風景を本国に持ち帰りたい」という期待に応えて描かれたベネツィアの景観にはじまり、ロンドンやローマなど、その他の地域のヴェドゥータも並びます。
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