“映え”絵の元祖? 18世紀ヴェドゥータの巨匠、日本初の展覧会「カナレットとヴェネツィアの輝き」SOMPO美術館で開催
マイナビニュース / 2024年10月25日 12時27分
「様々な角度から街並みをとらえた作品を通じて、ベネツィアの街中を歩くようにご覧いただきたいです。カナレットのヴェドゥータはいずれも、その表現の精緻さに目を奪われます。こうした表現は、“旅の記憶”を鮮明に喚起するきっかけとなると同時に、ときに構成において写真のようだという、なかば消極的な評価がされることもあります」(岡坂さん)
“写真のよう”とされるのには理由があって、カナレットのヴェドゥータの特徴は、当時の光学機器である「カメラ・オブスキュラ」を用いて、遠近法的に正確に描かれている点。ですがカナレットは、単に実景を写し取っただけでなく、実景に基づきながらも画面に景観を収めた時に見映えのよい、“絵になる眺め”になるよう意図的に、構図上の操作を加えました。彼のそうしたヴェドゥータは非常に人気を博し、同時代の画家にも大きな影響を与え、多くの追随者を生み出すことに。第3章ではカナレットの版画と素描を通して、彼の創造の周辺を、第4章では同時代の画家と後継者の作品から、カナレットに連なる系譜が紹介されます。
カナレットが確立したヴェドゥータの影響力は一体いつまで続いたのでしょうか。「カナレットの遺産」と題した第5章では、ホイッスラーやシッカート、そしてモネら19世紀以降のロマン主義や印象派の画家が、ベネツィアの眺めを独自の視点と解釈で描いた作品が登場します。「カナレットが華々しいベネツィアの表の顔を描いたとするなら、19世紀以降の画家たちは、それぞれに異なる独自の視点で、この街のいわば裏の顔を描いたといえるのかもしれません」と岡坂さん。
カナレットを核に、このヴェドゥータの巨匠の功績を日本に紹介するとともに、3世紀にわたってさまざまな画家が描き出した世界遺産の街・ベネツィアの輝きに触れる日本初の展覧会は、12月28日まで開催です。
■information
「カナレットとヴェネツィアの輝き」
会場:SOMPO美術館
期間:10月12日~12月28日(10:00~18:00※金曜は20時まで)/月曜休、ただし11月4日は開館
料金:1,800円/大学生1,200円・高校生以下、および障がい者手帳提示の方および付添者1名まで無料
(佐々木 ヒサ)
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