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「いて座A*」の降着円盤らしき構造、EHTの解析データの再解析から国立天文台などが確認

マイナビニュース / 2024年10月28日 10時55分

画像提供:マイナビニュース

国立天文台は10月25日、国際研究チーム「イベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)コラボレーション」が、アルマ望遠鏡をはじめとする世界の電波望遠鏡をネットワークさせて2017年に実施し、2022年に観測成果が発表された天の川銀河の中心に位置する超大質量ブラックホール「いて座A*(エースター)」の観測データをEHTコラボレーションとは異なる解析方法を用いて再解析を行った結果、いて座A*を中心としたやや東西に伸びた構造が新たに見出されたことを発表した。

同成果は、国立天文台の三好真助教、気象庁の加藤成晃技術専門官、神戸大学の牧野淳一郎特命教授らの共同研究チームによるもの。詳細は、英国王立天文学会が刊行する天文学術誌「Monthly Notices of the Royal Astronomical Society」に掲載された。

天の川銀河は、太陽のような恒星が少なくとも1000億個以上、多い見積もりでは4000億個ほどが集まっているとされる大型銀河だが、そうした大型銀河も宇宙には無数にあるとされるほか、その大半の中心には、質量が太陽の数百万倍から数十億倍にも及ぶ超大質量ブラックホールが存在すると考えられている。天の川銀河の中心にもそうした超大質量ブラックホールがあり、いて座A*と呼ばれている。

ブラックホールは、事象の地平面を越えると光すら脱出できなくなるため、どれだけ巨大なブラックホールであろうと、それ自身を光学的に観測することは現在の人類の科学力では不可能である。しかし、いて座A*の周囲を巡る恒星の動きから、その中心に太陽のおよそ400万倍の質量を持つ超大質量ブラックホールがあることが判明しており、そうした超大質量ブラックホールの周囲を詳細に観測することで、それ自身を直接光学的には観測できなくても、その性質を探るための手がかりを得られることが分かってきた。

EHTコラボレーションの活動は、2019年に発表された地球からおとめ座の方向に約5500万光年離れた大型の楕円銀河「M87」の中心に位置する、太陽質量の約65億倍という極めて巨大な超大質量ブラックホール(通称「M87」)の近傍を捉えた「ブラックホールシャドウ」を撮影したことで知られる。EHTコラボレーションで観測可能なブラックホールは、この巨大なM87のほか、地球から距離が近いいて座A*の2つであったことから、後者の観測も実施。2022年には、中心の暗い領域を縁取る明るいリング状の構造という、いて座A*の姿が観測されたことが発表されている。

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