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「いて座A*」の降着円盤らしき構造、EHTの解析データの再解析から国立天文台などが確認

マイナビニュース / 2024年10月28日 10時55分

一般的な画像撮影とは異なり、遠く離れた複数の電波望遠鏡を結んだVLBI(超長基線電波干渉法)観測では、取得した観測データの網羅性に欠けるため、画像を得るためのデータ処理にさまざまなアルゴリズムが用いられる。EHTは当時、新しい解析法を用いた結果を発表したが、研究チームは今回、EHTが公開している観測データに対し、これまでのVLBI観測において、伝統的に用いられてきた手法を採用して再解析してみることにしたという。

その解析の結果、EHTコラボレーションによるものとは異なる結果として、東西にやや伸びた形が得られたとした。また東半分が西半分に比べて明るくなっていたことを受け、いて座A*を取り巻く降着円盤が回転している様子と考えられるとしている。

EHTの観測データと解析手法は広く公開されており、多数の研究者がEHTの解析結果を検証済みで、今回の研究も、そうした研究活動の一環となるという。また、各地の電波望遠鏡をネットワークさせ、地球スケールの同望遠鏡を仮想的に構築するVLBIは発展途上の技術であると研究チームでは説明しているほか、画像を得るためのデータ解析手法に関する研究も、統計学をはじめ隣接する学問分野の知見も取り入れながら進められている状況としている。

なお、研究チームでは、今回示された構造と、EHTコラボレーションが過去に示した結果は異なるものの、どちらかが絶対に間違っているというわけではなく、どちらもが、それぞれの独立した手法によって1つの観測データから導き出された合理的な構造であるといえるとしており、EHTコラボレーションは、このように独立した検証を呼び起こし、またそれが可能なオープンデータを提供するという観点で、ブラックホール研究における重要な役割を果たしていると説明している。また、今後の解析手法に関する研究の進展や、2018年以降に実施された追観測のデータを基にした、研究者による活発な議論を通じて、いて座A*のより確からしい姿が得られることが期待されるとしている。
(波留久泉)



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