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佐野正弘のケータイ業界情報局 第138回 携帯電話番号「060」追加へ、なぜケータイ番号は急速に足りなくなっている?

マイナビニュース / 2024年10月30日 18時30分

しかし、それでも電話番号の枯渇が進む傾向は変わらず、令和6年度時点では比較的新しく割り当てられている070から始まる番号の残りが530万にまで減少。そこで総務省は今回、ようやく060から始まる番号の割り当てに踏み切ったといえるでしょう。ちなみに060から始まる番号も、4桁目が0以外のものだけが割り当てられることから、実現すれば音声通話ができる携帯電話番号の総数は3億6000万となり、当面の余裕が生じることは確かです。

IoTやサブ回線の需要増だけではない、番号枯渇の要因

では一体なぜ、人口が1億2000万程度であるはずの日本で、2億7000万もの携帯電話番号が足りなくなっているのでしょうか? これまで、その主な要因の1つとみられていたのは、電気やガスのスマートメーターなど、機械同士が通信する企業向けのIoT向けモバイル回線の需要増だったのですが、こちらに向けてはすでにデータ通信専用の020から始まる番号が割り当てられ、一定の対処がなされています。

それでも番号が不足する要因となっている理由の1つに挙げられるのが、メイン回線以外の需要の増加です。実際、最近では携帯電話回線を用いた固定回線サービスが増えており、こちらにも固定電話の番号に加え携帯電話番号が割り当てられています。また、ここ最近のスマートフォン新機種の大半は物理SIMとeSIMによる「デュアルSIM」に対応し、2つのSIM、ひいては2つの携帯電話回線を同時に利用できるようになっています。

それだけに、最近ではサブ回線需要を強く意識した、月額料金が非常に安い通信サービスも増加傾向にあります。その代表例となっているのが、KDDIの「povo」。月額0円での利用が可能で、必要な通信量を“トッピング”で追加できる仕組みを生かし、最近ではコンビニエンスストアの「ローソン」でpovoのデータ通信専用サービスが利用できるPOSAカードを販売するなど、eSIMに登録してサブ回線として利用してもらう取り組みに力を入れています。

もう1つ、サブ回線の需要を高めているのは、災害や通信障害への“備え”です。携帯大手3社は、大規模災害や大規模通信障害で自社回線が使えなくなった時の“備え”として、eSIMなどに他社回線を追加し、非常時に切り替えて利用する「副回線サービス」を提供するようになっています。

メイン回線以外の需要増加で2つ以上の電話番号を持つ人が増え、それが枯渇を進める要因となっているのは確かでしょう。ただ、もう1つの大きな要因として、携帯電話の契約・解約のサイクルが早くなっていることも考えられるのではないでしょうか。

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