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東奔西走キャッシュレス 第66回 PayPayだけじゃない個人間送金、銀行口座が使える「ことら送金」はいかが

マイナビニュース / 2024年10月28日 20時32分

これまでは、銀行送金だといずれかに手数料が発生するので、個人間送金では使いづらいという面がありました。ことら送金ならその点、気兼ねをする必要はありません。銀行に送金されるので、その後の使い方で困ることもありません。いったん送金されたら、月間の無料回数分の送金枠を使って自分の別の口座に送ってもいいですし、好きな決済アプリに入金してもいいでしょう。

ことら送金対応の金融機関同士であれば、自分の口座間でことら送金すれば、銀行間でも「口座振替」のように気軽にやり取りができます。6,000億円の中でもこうした「自分の口座間の振替」需要は多いのではないかと推測しています。

アプリによってUIは異なりますが、ことら送金の場合、口座番号を直接指定した送金に加え、「電話番号」と「メールアドレス」を鍵にした送金にも対応します。これはあらかじめ電話番号かメールアドレスに任意の口座を紐付けしておくと、送金元が電話番号やメールアドレスを指定するだけで送金できる機能です。

電話番号とメールアドレスで別々の口座を紐付けられるので、送金してほしい口座にあわせて送金先として伝えれば、受け取る口座のコントロールもできます。残念ながら複数のメールアドレスを設定することはできませんが、引き落とし口座と入金口座が分かれている場合などに便利でしょう。

いいことばかりに見えることら送金ですが、課題もあります。メガバンクを含む金融機関で、自社アプリではなく外部のアプリ、特に「Bank Pay」を使う例が多いことが挙げられます。これは銀行アプリからそのまま設定や送金ができないというのはデメリットでしょう。住信SBIネット銀行のように自社アプリ内に統合されていてUIも共通化されていると利便性は高く感じます。

前述の通りネット銀行の対応が遅れているのも課題です。「PayPayや楽天がメインなので、銀行もPayPay銀行や楽天銀行しかない」という人もいるでしょうから、そうした人との間ではことら送金ができないことになります。

直接決済アプリとの間で送金ができない点ももったいないところです。資金移動業者としてはアプラスのBANKITが対応しますが、一般的な決済アプリが対応するのは少々難しい印象もあります。

自社サービス内の囲い込みという点では、個人間送金は自社内にとどめた方が有効ですが、ことら送金を経由してほかの決済サービス間でも送金ができれば、自社サービスへの誘導に効果的、という可能性もあります。

このあたり、資金移動業者がどのように判断するか、複数の事業者が動けば面白くなりそうです。資金移動業者の中には、リクルート系の「COIN+」だと銀行出金が無料なので、COIN+対応アプリ同士の送金であれば出金も気兼ねなくできます(少し前までは同じ用途でpringがありました)。対応金融機関はそれほど多くないのですが、PayPay銀行や楽天銀行、イオン銀行もカバーしているので、ことら送金を経由できればさらに便利になりそうです。

いずれにしても、無料で銀行口座に送金してもらえるなら、好きな決済アプリに入金したり、クレジットカードの引き落とし口座の足しにしたり、「ことら税公金」として税・公金納付に使ったり、自由に使えるので個人的には嬉しいところなので、もっと普及してもっと使いやすくなるとありがたいところです。
(小山安博)



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