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中小企業デットファイナンスの新潮流 第32回 農業融資

マイナビニュース / 2024年11月1日 8時0分

製造加工設備を有する農業関連事業者が信用保証協会の保証制度を利用できるケースについて、2024年時点の東京信用保証協会を例として挙げれば、「信用保証対象外業種一覧」の農業の欄に「次の業種を除く」と書かれており、「人工ふ卵設備を有する鶏卵ふ化業及びふ卵業」「家畜貸付業」「園芸サービス業」「蹄鉄修理業」は対象外業種から除かれていて融資を受けられることが分かります。同様に「荒茶、仕上茶の製造業」「もやし栽培農業」「蚕種製造業」「蚕種製造請負業」「菌床栽培方式きのこ生産業」「苗床栽培方式のかいわれ大根製造業」は製造加工設備を有する場合に信用保証の対象となります。時間はかかるかもしれませんが、先端技術を活用した植物工場が信用保証協会を利用できるようにするためには、信用保証対象外業種の例外として採択されるよう長期的に働きかける必要があります。

「農業ビジネス保証制度」は、国家戦略特別区域農業保証制度として2014年6月から新潟県新潟市・兵庫県養父市・愛知県全域を対象に開始され、2019年から全国展開された際に改称されました。信用保証協会にて申し込むことができますが、全体像を紹介しているWebサイトが見つからず、中小企業庁が作成した農業ビジネス保証制度要綱のpdfファイルが辛うじて確認できる状況です。

最後に、農業融資の具体例を2024年の新聞記事から引用すると、北海道銀行と武蔵野銀行が農業を扱う専門部署を設立したニュースや、約20年前から農畜産業向け融資を強化してきた佐原信用金庫の事例が見つかります。畜産業では青森銀行がアレンジャーとして組成されたシンジケートローンの報道もあり、資金を供給する金融機関側の注目度が上がっている分野であることが理解できます。

農業融資に関する説明は以上です。次回はコベナンツについて取り上げます。

→前回連載「東大発ベンチャー現役CFOが教えるデットファイナンス入門」はこちら

千保理 せんぼただし ロンドン日本人学校中学部、東京学芸大学教育学部附属高等学校、東京大学経済学部経済学科を経て、東京大学大学院経済学研究科修士課程企業・市場専攻修了。専門は企業金融(コーポレート・ファイナンス)。生命保険会社のシステム子会社にて勤務した後、東京大学発IT系ベンチャー企業にCFOとして参画し、2022年に独立。未上場企業の融資による資金調達を得意としており、会計ソフトウェア会社やベンチャーキャピタルが主催する起業家向けの財務経理セミナーの講師を務めている。著書(共著)に千保理・滝琢磨・辻岡将基『~事業拡大・設備投資・運転資金の着実な調達~ベンチャー企業が融資を受けるための法務と実務』(第一法規、2019)がある。 この著者の記事一覧はこちら
(千保理)



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