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H3ロケット、3機連続打ち上げ成功 防衛通信衛星を搭載

マイナビニュース / 2024年11月5日 19時29分

画像提供:マイナビニュース

大型ロケット「H3」4号機が4日午後3時48分、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられた。防衛省の防衛通信衛星「きらめき3号」を所定の軌道に投入し、打ち上げは成功した。H3は2001年から運用中の「H2A」の後継機。昨年3月に1号機が失敗したのを受けて対策を講じ、今年2月の2号機、7月の3号機に続く成功となった。3機連続となり、新世代ロケットとして安定性を世界に示す道筋がついた形だ。

H3は打ち上げの約5分後に1段、2段機体を分離した。2段エンジンの燃焼を2回にわたり正常に行った後、打ち上げの約29分後、きらめき3号を静止遷移軌道に投入した。

会見した宇宙航空研究開発機構(JAXA)の山川宏理事長は「三菱重工業など関係企業と共にH3の着実な開発を進め、日本の宇宙輸送システムとして自律性を維持し、国際競争力を確保し、また打ち上げ実績を積み重ねることで信頼を獲得するべく、実直に取り組んでいく」と述べた。有田誠H3プロジェクトマネージャは「非常に大きな一歩。搭載した衛星の重要性を考えても、非常にホッとしている」と笑顔を見せた。

H3はH2Aと、2020年に運用を終了した強化型「H2B」の後継機。2段式の液体燃料ロケットで、1~4号機の全長は57メートル、衛星を除く重さ422トン。H3の最大能力はH2Bの6トンを上回る、6.5トン以上(静止遷移軌道、赤道での打ち上げに換算)だ。JAXAと三菱重工業が共同開発。H2A、小型の固体燃料ロケット「イプシロン」とともに、政府の基幹ロケットに位置づけられる。将来的には打ち上げ業務を、H2Aと同様にJAXAから同社に移管し、市場に参入する。

4号機の機体構成は3号機までと共通で、1段エンジン2基、固体ロケットブースター2基を装備した。H3による静止衛星の打ち上げは今回が初めてとなった。衛星にかかる負荷を軽減するため、1段エンジンの推力を一時的に絞って加速度を抑える「スロットリング」を3号機に続き実施した。

きらめき3号分離後には、衛星を高度約3万6000キロの静止軌道の近くまで届ける技術を検証するため、2段機体の飛行データを取得した。この技術はH2Aで2015年に「高度化」と称し実現したもので、H3では当初から仕様に盛り込んでいる。一般に、ロケットが静止衛星を投入するのは、静止軌道の“手前”にある静止遷移軌道だ。衛星はその後、自力で静止軌道まで到達する必要がある。静止軌道は赤道上空にあるため、赤道付近に発射場を持つ欧州が打ち上げに有利だ。そこで2段機体を、衛星を載せたまま長く飛行させる技術により、国産ロケットの“地理的な弱点”を克服する狙いがある。来年度にも打ち上げる「技術試験衛星9号機」で初適用する。

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