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知って納得、ケータイ業界の"なぜ" 第181回 NTT法見直しの議論が大きな節目、廃止見送りの公算高まる

マイナビニュース / 2024年11月11日 13時29分

画像提供:マイナビニュース

総務省の議論において、ユニバーサルサービス制度のあり方や、NTTグループが保有・管理している“特別な資産”に関連した公正競争や安全保障のあり方について、一定の方向性が示されたことでNTT法を巡る議論が大きな山場を迎えつつあるようだ。2025年の廃止も視野に進められていたNTT法の議論は、どのような方向に向かいつつあるのだろうか。
ユニバーサルサービス見直しはNTTに優位な内容に

2023年に突然浮上し、通信業界を二分する大きな議論を巻き起こした、いわゆる「NTT法」を巡る議論。2024年にも大きな動きがいくつか起きており、1つは4月にNTT法の一部を改正する法案が可決されたこと。これによって従来日本電信電話(NTT)に課せられていたいくつかの制約が取り払われることとなった。

大きな制約の1つは、NTTが研究開発した成果を、他社の要求があれば開示しなければならない義務の撤廃。そしてもう1つは、外国人がNTTの取締役になることができないという規制の緩和だ。これらはグローバル化が進んだ昨今、NTTが海外人材の確保や海外企業との共同研究などをする上で大きな障壁となっていたものであり、競合からも大きな反対意見はなかったことから先んじて改正がなされている。

しかしながら、東日本電信電話・西日本電信電話(NTT東西)が多額の赤字を抱えている古いメタルの固定電話回線廃止に向けたユニバーサルサービス制度のあり方の見直しや、NTT東西が保有している局者や電柱、とう道などの“特別な資産”とされる設備を運用するアクセス部門の扱いに関しては、競合の反発もあり議論が必要とされていた。そこで先の改正NTT法では、2025年の通常国会を目途に新たな改正案を提出し、NTT法の廃止を含めた検討をするとされていたのである。

その議論は総務省の報通信審議会 電気通信事業政策部会 通信政策特別委員会で、ユニバーサルサービス、公正競争、経済安全保障の3つの観点から専門のワーキンググループを設けて進められてきた。そして2024年10月に入り、3つのワーキンググループで相次いで報告書がまとめられ、NTT法の見直しに一定の方向性が打ち出されているのだが、その内容をかなりざっくりした形で表現すると、NTTの1勝2敗ということになるだろう。

NTTが有利な形で結論を得たのはユニバーサルサービス制度に関するワーキンググループである。NTTはその見直しに当たって、固定よりモバイルの利用が多いことからユニバーサルサービス制度のあり方はモバイルを軸とすべきと主張していたが、これ自体は認められずユニバーサルサービス制度の保障対象は引き続き固定電話とすべきとされている。

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