実家の印鑑と通帳の置き場所、わかる? 直面して初めて実感する“介護のリアル”-一軒家借切のイマーシブ体験型イベントが開催
マイナビニュース / 2024年11月12日 18時34分
「ただいまー」と呼びかけながら廊下を進むと、「おかえりー」と奥から顔を覗かせる母。これから家族に起きる“ある出来事”を回避するために与えられた「印鑑と通帳のある場所を探せ」というミッション――疑似家族との団らんを通じて謎解きをする、渋谷の一軒家を舞台にしたイマーシブ体験イベント『ただいまタイムループ』が、11月13日から17日までの期間限定で開催されます。前日に行われたメディア向け発表会で、気になる介護×イマーシブ体験の様子を覗いてきました。
○渋谷の一軒家を借り切って開催する、介護×イマーシブ体験
実はこのイベント、経済産業省が2023年3月に発足した介護プロジェクト「OPEN CARE PROJECT」の一環で開催されるもの。久しぶりに帰省した実家という設定の一軒家で、父、母、姉の3人に迎えられ、ヒントを手がかりに、疑似家族と対話しながら謎解きする。そんな没入体験を通して、介護を自分ごととしてとらえ、家庭と介護について会話するきっかけを提供すべく企画されました。
母は少しずつ物忘れが始まっている様子。実は遠くない将来に認知症を発症し、その介護にあたって家族は、母が管理していたお金を引き出せないという問題に直面しするそう。そんな悲しい未来を変えるため、体験者は母だけが把握している口座の暗証番号と、印鑑と通帳の保管場所を疑似家族との対話を通じて探し出す……というのがミッション。なのですが、お金のことは家族間でもデリケートな話題だけに、体験者は会話の流れで気まず~い雰囲気になったり、ミスリードにひっかかったり、さらに“タイムリープ”もしながら、手がかりを少しずつ得て答えを導き出します。
○超⾼齢社会では、「育児」以上に「介護」に直面する
経産省がこのイベントを企画した背景にあるのが、歴史上類を⾒ない“超⾼齢社会”。来る2025年、第一次ベビーブーム(1947年から1949年)に生まれた団塊の世代・約800万人が、後期高齢者になります。さらに共働き世帯や生涯シングル世帯が増加している社会トレンドをふまえると、家族の介護は決して他人事ではありません。実際、家族の介護のために仕事を辞める、いわゆる“介護離職者”の数は、毎年約10万人。家族介護者の数がピークを迎える2030年には、家族介護者のうち約4割にあたる約318万人が、仕事と介護の両立が必要となり、それによる経済損失は9兆円を超えるという調査結果もあるそう。
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