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国立天文台、太古の月における熱膨張進化に関する新たな研究成果を発表

マイナビニュース / 2024年11月15日 16時9分

ローランドでは岩体由来の露頭が見つからず、さらにクレーター内の重力異常値が数値計算では再現できなかったとのこと。観測データにおいて、ローランドの縁で線状重力異常は完全に切れているが、直径150km程度のクレーターでは完全に掘削しきれずに岩体の根がクレーター形成後も残り続けるため、完全に切れたような構造は再現できないとする。つまり、岩体が元々ローランドの位置まで続いていたとすると、スペクトル・重力の観測データがどちらも説明できないとしている。

一方、ロシュの場合は岩体が掘削された形跡が発見され、クレーター周囲には玄武岩質の露頭が点在し、さらに重力異常データは衝突数値計算でよく再現できたという。つまり、ロシュの形成以前から岩体が存在し、それが掘削・放出されたことを示唆するとしている。

これらの結果から得られる解釈の1つが、岩体の年代が幅広いという点だ。ローランドにおいて、岩体がクレーター形成以降にできた可能性があるという(岩体の端に偶然ローランドが形成された可能性もあるが、そのような確率は低いとする)。もしそのような場合、ローランドの周囲の応力場などの影響で貫入方向がクレーターの縁に沿うような方向になりやすい特徴がある。こういったクレーター形成後の影響で、線状重力異常がローランドを横切らなかった可能性があるとしている。両クレーター共に、形成年代は月地質年代の「ネクタリス期」(39.2~38.5億年前)に該当するため、岩体の形成が同期の前後に渡る幅広い年代で生じていたことを示唆するとした。

研究チームは、今回の研究成果がこれまでの数値計算に基づく月の熱進化モデルによる描像に反するものであり、今後、月の熱進化を議論する上で大きな制約となる可能性があるとする。その一方で、月の膨張期がいつまで続いていたのかという数値計算においては、これまでもネクタリス期以降まで続いていたことも示唆されており、今回の成果はそれを支持する結果かもしれないとしている。
(波留久泉)



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