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福島から宇宙へ、気球からの打ち上げに挑むAstroXの「FOX」発射実験を見た!

マイナビニュース / 2024年11月16日 6時0分

画像提供:マイナビニュース

ロケットは普通、地上から打ち上げられる。JAXAのH3も、スペースワンのカイロスも、インターステラテクノロジズ(IST)のZEROも、みんなそうだ。しかし、気球を使って成層圏まで運んでから打ち上げるという、ちょっと変わったロケットがある。それが、日本の宇宙ベンチャー・AstroXが開発している「FOX」ロケットである。

この打ち上げ方は、ロケット(Rocket)と気球(Balloon)の単語を組み合わせ、ロックーン(Rockoon)方式と呼ばれる。世界ではまだ誰も宇宙到達を成し遂げていない、チャレンジングな方式だ。

AstroXはなぜ、この方式を選んだのか。11月9日に福島県南相馬市で行われた打ち上げ実験を取材してきたので、さっそくレポートしよう。
ロックーン方式のメリットとは

衛星を地球周回軌道に乗せるためには、秒速約8kmという速度が必要だ(第1宇宙速度)。ロケットは、この水平方向の速度を稼ぐための乗り物である。地上からの打ち上げを見ていると、ロケットは真上に飛んでいくイメージがあるが、地球周回のために必要なのは水平方向の速度であって、垂直方向の速度はまったく貢献しない。

ではなぜ、まず上に飛ぶのかというと、速度を出すのに邪魔な大気から早く逃げるためだ。垂直方向の加速は地球周回にとって意味はないものの、大気が濃いところから早く脱出した方が、トータルとしては打ち上げ能力が高くなるのだ。

ロックーン方式の狙いは、まさにここにある。同社は高度20km程度の成層圏からの打ち上げを計画しているが、これほどの高さになると気圧は地上の1/10以下しかなく、大気による損失をかなり軽減できる。地上から一気に離れる第1段の役割を、気球が担ってくれるようなイメージで考えると分かりやすい。

ロケットを空中で発射するものとしては、航空機で運ぶ方式もあり、これはすでに実用化している。しかしビジネスとしては結局、うまくいかなかった。原因のひとつとして指摘されるのが、航空機の維持コストの高さだ。毎週のように高頻度に打ち上げるのなら良いが、そうでないならこれが重くのしかかってくる。

しかし気球であれば、製造コストも維持コストも安い。ロックーン方式の弱点は、気球で運べる重量の制約のため大型化が難しいことだが、近年は小型衛星の需要が急速に高まってきており、小型ロケットでもビジネスが成立するようになってきた。こうした背景事情も、ロックーンを後押しする。

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