変革の軌跡~NECが歩んだ125年 第5回 通信技術の飛躍 - 戦後日本を支え、衛星が宇宙へ上がり、日本を守る企業へ
マイナビニュース / 2024年11月19日 12時0分
戦後のNECの成長は、1952年に発足した日本電信電話公社(電電公社、現在のNTT)と
の深い関係がベースとなっている。
電電公社では、1953年度から「第1次電信・電話拡充5カ年計画」をスタート。東京、大阪、名古屋の3大都市間の相互即時通話の実現や、各県庁所在地都市間の市外通話接続待時間を30分以内に短縮するといった目標が掲げられ、そのためにクロスバ交換機やマイクロ波回線といった新技術を積極的に導入することが打ち出された。
当時の日本の通信環境は脆弱であり、電話に加入する際には2年待ちが普通であり、市外通話をする場合には、特急で申し込んでも1~2時間待たないと利用できないという状況であった。戦後における電話の普及と、即時通話の実現は大きな課題となっていたのだ。
高い技術力、通信技術研究でNTTとパートナーに
初期の電話サービスは、電話機にはダイヤルがなく、受話器を上げると交換手につながり、交換手が相手先の名前を聞き、手動で回線をつなぐという方法であった。
電話の普及に伴い、電話番号をもとに自動でつなげることが求められ、電話局にはステップ・バイ・ステップ方式の自動交換機の導入が促進。さらに、より効率的に運用ができるクロスバ交換機の導入へと進化していった。クロスバ交換機は、縦と横に張り巡らされた複数のバーがクロスし、電話をかけると、ダイヤルされた電話番号の情報から、各バーに付いている電磁石を使って、縦と横のバーを接触させて、相手に電話をつなぐという仕組みになっており、日本の電話交換業務の自動化と安定運用を促進するものとして期待された。
だが、同計画のなかで、最も問題になったのがクロスバ交換方式の実用化であった。耐久性に優れ、雑音が少ないというメリットがあるクロスバ交換機であったが、従来のステップ・バイ・ステップ方式では国産化が進み、想定以上に故障が少ないというメリットが生まれ、わざわざクロスバ交換方式を採用する必要がないという論調があったり、米国で製品化されていたクロスバ交換機が日本へ輸出されていなかったり、海外の最新技術情報が入手しにくい状況にあるというマイナス面もあったからだ。
だが、電電公社では、将来の電子交換機への移行を見据えて、最適なクロスバ交換機の採用を強力に推進。同計画の開始と同時に、国産クロスバ交換機の研究開発を開始し、電気通信研究所の共同研究のパートナーとしてNECを指名したのだ。
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