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長野県小布施町に遺る北斎作品を高精細デジタル化! ICCで「Digital×北斎」展の集大成

マイナビニュース / 2024年11月19日 14時5分

○最新のデジタル技術で鑑賞の機会を生み出す

長野県宝にも指定されている2基の祭屋台は、所蔵元である小布施町の東町自治会と上町自治会が、それぞれ北斎館に寄託し、1976年の北斎館開館時より展示されている。今回の展示作品については、NTT東日本 ビジネス開発本部 営業戦略推進部 営業戦略推進担当 チーフの戸高功資氏から次のように解説された。

「1806年に再建された東町祭屋台は、小布施町に現存する最古の祭屋台で、1844年に小布施の豪商・高井鴻山の依頼により北斎が『龍』『鳳凰』の2図を描き、同年、天井絵に収められたと言われています。上町祭屋台は1845年に建立された祭屋台で、北斎は同年この天井絵としてこの『男浪』『女浪』の2図を描きました。北斎は上町祭屋台の『皇孫勝』『応龍』という2つ飾り人形のプロデュースを手がけており、この飾り人形へのこだわりも非常に強く、7回の作り直しを命じたとも伝えられています」

2023年にNTT ArtTechnologyとアルステクネは祭屋台の天井絵4枚の高精細デジタル化と、祭屋台2基の本体の3Dデジタル化を実施。
北斎が晩年に心血を注いだ空間演出作品である上町祭屋台の3Dデータを活用し、3Dフローティング・ギガ・ビューワーや3Dビューワーといったデジタルアプリケーションでの鑑賞体験を提供する。立体作品のデジタル化は「Digital×北斎」プロジェクト初の試みだ。

「これまで絵画作品で展示を行ってきた3Dフローティング・ギガ・ビューワーでは今回、上町祭屋台の3Dデータ、空中に投影された映像を非接触で操作しながら鑑賞することができます。こちらでは天井絵『男浪』『女浪』の高精細データも細部まで拡大しながら自在に鑑賞することが可能です。立体映像をディスプレイに表示する3Dビューワーでは、手元のコントローラーで操作することで、さまざまな視点から上町祭屋台を隅々まで鑑賞できます」(戸高氏)

また、本展覧会では「Digital×北斎【急章】その1」展で額装によって展示した北斎の肉筆画作品を軸装で展示。アルステクネの高精細デジタル化作品の特徴を活かし、実物と見紛うレベルの高精細レプリカを掛け軸として、より間近で鑑賞できる。

実物の絵画は顔料の粒子の大きさ、塗り重ねの方法や和紙などの素材による微妙な凹凸があり、従来のデジタル化技術ではこうした複雑な三次元構造の情報が記録から欠落してしまっていた。アルステクネの特許技術「DTIP(Dynamic Texture Image Processing)」では、ミクロン単位の線情報や入光角度のデータなどを億単位の画素数で記録。30枚ほどの画像を立体的に合成することで、原画の絵筆のタッチや凹凸、素材の立体質感などを忠実に再現しているという。

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