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探査機「ボイジャー2」のデータが明かす天王星の謎、38年越しの科学的発見

マイナビニュース / 2024年11月19日 17時41分

画像提供:マイナビニュース

いまから38年前、探査機「ボイジャー2」が天王星を探査した際、その磁気圏で、説明できない奇妙な現象が観測された。長らく科学者の頭を悩ませる謎となっていたが、最近の研究により新たな光がもたらされた。

当時のデータをあらためて分析した結果、それがわずか約4%の確率でしか発生しない現象を、偶然捉えたものであったことが明らかになったのである。

研究をまとめた論文は、2024年11月11日付けの『ネイチャー・アストロノミー』誌に掲載された。

天王星の磁気圏の謎

天王星は、太陽系の第7惑星で、巨大な氷の惑星である。直径は地球の約4倍、質量は約14.5倍もあり、太陽系で3番目に大きい惑星である。最も特異な点は自転軸で、その傾きは約98度、すなわちほぼ横倒しの状態で自転している。

1986年、ボイジャー2は天王星を史上初めて、そして間近で探査した。その観測データから、新しい衛星や環が発見された一方で、科学者たちは磁気圏をめぐる不可解な謎に直面した。

磁気圏は、惑星の磁場が及んでいる領域のことで、太陽から吹き出している太陽風(プラズマ)から惑星を保護する役割を果たしている。磁気圏の働きについて学ぶことは、地球のような惑星だけでなく、探査が難しい太陽系の外縁にある天体や、太陽系外惑星を理解する上で重要となる。

謎のひとつは、天王星の磁気圏内に、きわめて高い電子放射線帯があったことである。その強さは、太陽系で最も強い木星に次ぐほどだった。しかし、その放射線帯に供給されるエネルギー粒子の供給源が何なのかはわからなかった。実際、天王星の磁気圏のほかの部分にはプラズマがほとんど存在しなかった。

また、プラズマがない部分があることも大きな謎だった。なぜなら、天王星の磁気圏内にある主要な5つの衛星は、他の外惑星のまわりにある氷の衛星と同様に、活動によって水イオンが供給され、そこからプラズマが生成されるはずだと考えられたためである。そのため、当時の科学者たちは、この観測結果を説明するために、「これらの衛星は活動していない、不活性なものである」と解釈した。
明らかになった謎

この天王星の特異な磁気圏をめぐっては、長らく科学者の頭を悩ませる謎となり、それゆえに天王星は「太陽系の異端者」とも呼ばれた。

ところが最近になり、科学者がボイジャー2のデータをあらためて分析した結果、新たな光がもたらされた。

鍵となったのは、このときの太陽風の動きだった。観測したタイミングは、太陽からのプラズマが異常だった時期にあたり、それによって磁気圏の働きを一時的に強め、電子を注入して放射線帯に供給したと考えられるのだという。

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