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探査機「ボイジャー2」のデータが明かす天王星の謎、38年越しの科学的発見

マイナビニュース / 2024年11月19日 17時41分

太陽風はまた、天王星の磁気圏を激しく叩いて圧縮したことで、プラズマを天王星系から追い出したと考えられるという。そのため、磁気圏のほかの部分にはプラズマがほとんど見られなかった可能性が高いこともわかった。

論文の主執筆者を務めた、JPLのジェイミー・ジャシンスキー氏は「ボイジャー2がほんの数日早く到着していたら、天王星の磁気圏はまったく違ったものとして観測されていたでしょう。ボイジャー2は、わずか4%程度でしか発生しない条件下の天王星を、偶然にも観測したのです」と語る。

また、ボイジャー2のプロジェクト・サイエンティストを務めるLinda Spilker氏は「私たちは天王星の磁気圏の異常さの説明を探していました。ボイジャー2が観測した磁気圏は、ある瞬間のスナップショットにすぎませんでした。この新しい研究は、一見矛盾しているように見えるもののいくつかの謎を説明し、天王星に対する私たちの見方を再び変えることでしょう」と語っている。

この発見は、天王星の主要な5つの衛星を研究するにあたって朗報となるかもしれない。すなわち、これまではプラズマが見られないことから、それらの衛星は地質学的な活動をしていないと解釈されてきたが、プラズマの消失が一時的だったということは、衛星は活動しており、磁気圏にイオンを供給し続けている可能性もある。

天王星に探査機が訪れたのは、現在のところボイジャー2が最初で最後である。ただ、米国の全米アカデミーズは2022年に、惑星探査における次の10年計画「ディケイダル・サーヴェイ」において、探査のターゲットとして天王星を選んでおり、現在実現に向けた検討が続いている。

一方、ボイジャー2は現在、地球から約210億km離れた恒星間空間を飛んでいる。

○参考文献

・Mining Old Data From NASA’s Voyager 2 Solves Several Uranus Mysteries | NASA Jet Propulsion Laboratory (JPL)
・The anomalous state of Uranus’s magnetosphere during the Voyager 2 flyby | Nature Astronomy

鳥嶋真也 とりしましんや

著者プロフィール 宇宙開発評論家、宇宙開発史家。宇宙作家クラブ会員。 宇宙開発や天文学における最新ニュースから歴史まで、宇宙にまつわる様々な物事を対象に、取材や研究、記事や論考の執筆などを行っている。新聞やテレビ、ラジオでの解説も多数。 この著者の記事一覧はこちら
(鳥嶋真也)



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