プラズマ乳酸菌の経鼻接種でウイルス感染をブロック! キリンと国立感染症研究所が研究発表会を開催
マイナビニュース / 2024年11月20日 12時1分
プラズマ乳酸菌を感染症予防に役立てる研究が日進月歩の勢いで進んでいる。
キリンホールディングスは国立感染症研究所と共同して行っている研究開発において、「乳酸菌L.ラクティス プラズマ(プラズマ乳酸菌)」の経鼻接種が、新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスへの感染防御に効果的であると非臨床実験で確認した。
11月18日に行われた研究成果発表会では、キリンホールディングスのヘルスサイエンス研究所で所長である藤原大介氏、同研究所の研究員・城内健太氏、国立感染症研究所 エイズ研究センターで第一研究グループ長を務める石井洋氏らが、これまでの研究成果と今後の展望について説明した。
○プラズマ乳酸菌の力で自然免疫・pDCを活性化
2000年以降、SARSや新型インフルエンザ、新型コロナウイルスなど、新型ウイルスの流行が周期的に起こるなど、人々は常に感染症の脅威に晒されている。
藤原氏はこのような社会背景を前提として、「周期的に流行する未知なるウイルス感染症に罹患しないよう対策することが必須である」と指摘。プラズマ乳酸菌の研究に至ったきっかけについて「細菌治療では抗生物質が幅広く効くため、たとえ新しい細菌が流行してもそれほど脅威にはならない。一方ワクチンや抗ウイルス剤などは特定のウイルスにしか効果がないため、新型ウイルスの流行には対処できないという課題がある。こうした経緯から、様々なウイルスに効果がある手頃な手段を確立すべく、プラズマ乳酸菌の研究を行ってきた」と説明した。
免疫は「自然免疫」と「獲得免疫」のふたつに分けられる。前者は外からの敵に対して攻撃するため対象が何であるかは関係がない。一方で後者は一度攻撃された敵を覚え、2回目以降に効果的に攻撃することができる。
藤原氏は「ワクチンは獲得免疫の仕組みを使い、病原体もしくはその一部を封じ込めて作られている。そのため新たなウイルスの攻撃を受けたときにすぐワクチンが作れるわけではなく、まずは自然免疫だけでウイルスと戦わなければならない。しかし自然免疫でワクチンを作れるようになれば抗原が不要になるため、“病原体フリー”のワクチンが実現するかもしれない」と言及した。
ウイルス感染防御に重要な役割を果たすのが、自然免疫である「pDC(プラズマサイトイド樹状細胞)」だ。pDCが活性化すれば、B細胞やキラーT細胞、ヘルパーT細胞、NK細胞など様々な獲得免疫が強化され、ウイルスを攻撃・排除することが可能になる。
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