プラズマ乳酸菌の経鼻接種でウイルス感染をブロック! キリンと国立感染症研究所が研究発表会を開催
マイナビニュース / 2024年11月20日 12時1分
藤原氏はpDCの重要性を説明したうえで「2009年までpDCを活性化させる乳酸菌は存在しないと論文で言われていたが、2010年に私たちの研究により、世界で初めて免疫の司令塔を活性化できる『プラズマ乳酸菌』を発見し、2012年に国際的な論文で発表した。国立感染症研究所との共同研究では、活性化したpDCを新型コロナウイルスと混ぜると、本来増殖するはずのウイルスを抑制できるという結果が得られた。これを元に、プラズマ乳酸菌を用いて、あらゆる呼吸器ウイルスに対応できる夢のワクチンが作れないかと考えている」と主張した。
このプラズマ乳酸菌の研究は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の先進的研究開発戦略センター(SCARDA)が公募した、ワクチン開発・生産体制強化戦略関連事業「ワクチン・新規モダリティ研究開発事業」に採択されている。
続いて登壇した城内氏は、乳酸菌L.ラクティス プラズマの経鼻接種によってどんな影響をもたらすかを解説。「なぜ経鼻接種をする必要があるのか疑問に思う方もいるかもしれないが、呼吸器ウイルスに関しては上気道粘膜(鼻周り)でウイルスが増殖することがわかっている。これまで、プラズマ乳酸菌を経鼻接種した事例がなく、鼻周りの自然免疫応答にどのような影響を与えるのかをまず調べなければならなかったが試験の結果、経鼻接種により鼻腔細胞中のpDCの割合が0.8%ほど増加、疑似ウイルスに対する反応も明らかに向上することがわかった」と説明した。
また、“プラズマ乳酸菌の経鼻接種は、早い時期から自然免疫応答が誘導される”という仮説をもとに実験を行った城内氏らは、「接種から6時間後には鼻腔細胞中のpDCの割合と抗ウイルス遺伝子の量が増え、24時間後まで維持されるという結果が出た。まだ非臨床実験の段階ではあるものの、プラズマ乳酸菌の経鼻接種により、鼻腔での速やかな自然免疫応答を誘導し、ウイルスに対する防御効果を発揮する可能性が示されている」と語った。
最後に登壇した石井氏によると、病原体が体内に入ってきた際、自然免疫反応は最初の防御機能として非常に大事な役割を果たしているという。
「これまで自然免疫反応は、1、2日ほどでなくなると報告されていたが、近年では数週間~数カ月持続するメモリー反応(訓練免疫)が存在すると示唆され、多様な呼吸器ウイルスの感染防御に役立つのではないかと研究が進められている」(石井氏)
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