欧州の再使用ロケット実証機「テミス」、機体の組み立て開始 - 2025年にも飛行試験へ
マイナビニュース / 2024年11月21日 15時45分
テミスの最初の試作機は「テミス1・エンジン・ホップ・テスト (T1H)」と呼ばれている。すでに、着陸脚やエンジン、電子機器など主要システムの試験プログラムは終えており、現在はフランスのヴェルノン試験施設において、機体の組み立てが行われている。
初飛行は2025年を予定?
一方、テミスの飛行試験が行われるスウェーデン北部にあるスウェーデン宇宙公社のエスレンジ射場では、試験施設・設備の建設が進んでいる。
すでに、発射台や、推進薬を貯蔵するタンク、ロケットに供給するための配管などが設置されており、現在は最終調整の段階だという。また、ロケットの打ち上げと追跡管制を行うための運用センターの設置も始めたとしている。
フランスで組み立てられたテミスは、トラックで3000km以上離れたこのエスレンジまで運ばれ、飛行試験を行うことになる。
現在、初飛行は2025年に予定されており、まずはプロメテウスを連続的に噴射しつつ、スロットリングを行いながら、高度100mまで上昇して着陸する、小さな「ホップ」飛行を行うことになっている。
それに続く2回目の飛行試験キャンペーンでは、最終的に高度20kmにまで到達することを目指している。そして最終的には、試験の舞台を南米仏領ギアナのギアナ宇宙センターに移し、高度約100kmまでの打ち上げ、着陸、そして再打ち上げの試験へと移っていくことになる。
着陸精度は約10mを目指すという。
欧州の再使用ロケットをめぐっては、アリアングループ子会社のベンチャー企業「マイアスペース(MaiaSpace)」が、「マイア」ロケットを開発しており、そのロケットエンジンにプロメテウスが採用される。
また、関係者は、アリアン6の次の世代のロケット、いわゆる「アリアン・ネクスト」にもプロメテウスを採用する可能性や、日本を含む欧州内外の企業など販売する可能性も示唆している。
○参考文献
・ESA - Themis flight model: assemble!
・ESA - Themis
鳥嶋真也 とりしましんや
著者プロフィール 宇宙開発評論家、宇宙開発史家。宇宙作家クラブ会員。 宇宙開発や天文学における最新ニュースから歴史まで、宇宙にまつわる様々な物事を対象に、取材や研究、記事や論考の執筆などを行っている。新聞やテレビ、ラジオでの解説も多数。 この著者の記事一覧はこちら
(鳥嶋真也)
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