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水洗トイレの便器のふたは閉めて流そう 産総研などがウイルス飛散を可視化

マイナビニュース / 2024年11月21日 20時4分

次に場所によってどの程度のウイルス飛散が生じるのかを、(1)便座のふたの裏側、(2)便座上面、(3)便座裏面、(4)便座手前の外側、(5)便座手前横の外側、(6)便座横奥の外側、(7)壁、の7カ所で調べた。各所を綿棒で拭い、PCR法を用いて飛散したウイルスを定量化した。

ふたを閉めた状態だと、便器内に排出されたウイルスは、便器のふたの裏と便座上面、裏面の合計で2分の1強、便器の外に2分の1弱が放出されていた。ウイルス付着密度で比較すると、便座裏面や両サイドの壁に約3分の1ずつウイルスを含む飛沫やエアロゾルが付いていた。水洗前に入れたウイルス量に対しては少なく感染リスクが高くはないが、水洗や掃除をする時に便器から15センチほど離れたり、ふたや便座だけでなく壁も定期的に掃除したりすることが推奨されるという。

一連の実験結果から福田統括研究主幹は「ふたを閉めた方が開けたまま流すよりも飛沫やエアロゾルがでる絶対量が非常に少なくなる。ふたを閉めたからといって完全に外に漏れ出るエアロゾルが減るわけではないが、大きく捉えるとふたを閉めて流した方が好ましいだろう」としている。

今回の実験で用いた水洗トイレは、市販されている節水タイプ(1回の水洗で流れる水量は6リットル)のサイホン式の洋式トイレをつかった。今後さらに普及が見込まれる節水タイプで、流量も平均的なものを選んだ。「効率的な洗浄ができる水の流れ方など、各社で独自の工夫が便器に施されているため、細かいところは異なるだろうが、全体の傾向は当てはまるだろう」と福田総括研究主幹は話す。

今後は提案・実用化されている様々な水洗方式についても飛沫・エアロゾルなどの空間分布などを調べて方式による違いなどを検討することで、洗浄効率や節水性能だけではなく、衛生管理・感染防止面でも優れた便器の開発に向けた知見を集めていきたいという。

研究は、金沢大学などと行い、成果は11月3日~7日にマレーシアで開催されたエアロゾルの国際学会でポスター発表した。
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