1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. IT
  4. IT総合

リュウグウの砂粒から見つかった塩の結晶 - 宇宙空間を解き明かす新たな鍵に

マイナビニュース / 2024年11月22日 18時11分

画像提供:マイナビニュース

京都大学(京大)、東北大学、高輝度光科学研究センター(JASRI)、分子科学研究所(分子研)の4者は11月21日、探査機「はやぶさ2」が回収した小惑星リュウグウのサンプルを詳細に分析した結果、「ナトリウム炭酸塩」、「岩塩(塩化ナトリウム)」、「ナトリウム硫酸塩」を含む微小な塩の結晶が発見されたと共同で発表した。

同成果は、京大 白眉センター/理学研究科の松本徹特定助教、京大大学院 理学研究科の野口高教授、同・三宅亮教授、同・伊神洋平助教、東北大大学院 理学研究科の松本恵助教、宇宙航空研究開発機構(JAXA) 地球外物質研究グループの矢田達主任研究開発員、JASRI 放射光利用研究基盤センターの上椙真之主幹研究員、同・安武正展研究員、同・上杉健太朗主席研究員、同・竹内晃久主幹研究員、分子研 技術推進部の湯澤勇人技術職員、高エネルギー加速器研究機構 放射光実験施設の大東琢治准教授、分子研 極端紫外光研究施設の荒木暢主任研究員らの共同研究チームによるもの。詳細は、「Nature Astronomy」に掲載された。
○宇宙での姿を保ったサンプルの詳細観察を実施

小惑星から直接持ち帰られたサンプルには、地球の大気にさらされてしまった隕石では見られないような、未発見の物質が発見されることが期待されている。その1つが、地球大気下では変質してしまいやすいとされる、水に溶けやすい、もしくは吸湿しやすい物質だ。

そこで今回の研究ではまず、リュウグウのサンプルを大気にまったく触れない状態にした上で観察を実施。すると、表面に小さな白い鉱脈が発達していることが発見されたことから、続いて、それを形成する鉱物が詳細に観察された。その結果、ナトリウム炭酸塩、岩塩の結晶や、ナトリウム硫酸塩がその成分であることが判明したという。

現在のリュウグウは全長800mほどだが、太陽系が誕生して間もない約45億年前には、数十kmの大きさを持つ母天体の一部だったと推定されている。その内部は放射性元素の崩壊熱によって温められ、100℃以下のお湯で満たされていたとされ、それらの液体はこれまでの研究で、サンプルから溶媒抽出された成分がナトリウムや塩素などに富むことから、塩水だったと推定されていた。そして研究チームは、今回発見された塩結晶も母天体の塩水中で沈殿したものであることが考えられるとしている。

今般発見された鉱物は、いずれも水に非常に溶けやすい性質を持つ塩の結晶だ。水溶性であることから、液体が極めて少ない上に、塩分濃度が高くなければ結晶が析出できなかったことが予想されるという。そのため研究チームでは、サンプルを構成する多くの鉱物が母天体で沈殿した後、液体の水が失われる現象が存在し、その際に塩の結晶が沈殿したと考察する。
○太陽系の水環境を解き明かす手がかりになる可能性も

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください