教養としてのハイブランド 第4回 “泥沼お家騒動”で破産寸前だったGUCCIは、どうやって人気ブランドに返り咲いたのか?
マイナビニュース / 2024年11月28日 12時0分
一見普通の白シャツが、ハイブランドでは10万円で販売される理由……あなたは説明できますか? この連載では、ハイブランドと呼ばれるアパレルブランドが「ハイブランドたる所以」をわかりやすく解説していると話題の書籍『教養としてのハイブランド フツーの白シャツが10万円もする理由』(とあるショップのてんちょう 著/彩図社 刊)から一部を抜粋して紹介していきます。
今回は、老舗ブランドGUCCIの歴史を深堀り。破産寸前でブランドの存続も危ぶまれた過去から復活した、驚異のサクセスストーリーとは?
ここで、誰もが知る老舗ブランド「GUCCI(グッチ)」について話をさせてください。確かな実績と歴史を誇るグッチは、90年代にとある大きな転機を迎えます。
まずは簡単に、グッチの歴史をたどってみましょう。
グッチは1921年、イタリアで誕生したファッションブランドです。
グッチオ・グッチという人物が、イタリアのフィレンツェにて革製品の販売を始めたところから、ブランドの歴史は始まります。エルメスやルイ・ヴィトンなど、長い歴史を持つラグジュアリーブランドの始まりは、このように革製品から始まっていることが多いですね。
品質保証の証としてグッチオ・グッチのイニシャル「GG」を刻印に使用したことから、グッチは「ブランドの元祖」とも呼ばれています。
グッチは1950年頃にはすでに洗練したブランドイメージを定着させ、エリザベス女王や、エレノア・ルーズベルト、他にも各国の大スターを魅了し、ブランドの顧客として抱えていました。ビットローファーや、赤緑のストライプ柄で構成されたシェリーライン。また、グッチの定番デザインであるGGキャンバスも有名ですね。
順調にブランドの規模を拡大し、60年代から70年代にかけて栄華を極めたグッチですが、その勢いは一度衰退してしまいます。
その原因となったのは、グッチ一族の後継者やお金をめぐる確執。いわゆる、お家騒動でした。
泥沼のお家騒動を経てズタボロになってしまったグッチでしたが、90年代に救世主となるデザイナーが現れます。
それが、トム・フォードです。
トム・フォードは長いグッチの歴史において、大きなターニングポイントとなる人物です。
彼は1961年、アメリカ・テキサス州生まれのデザイナーで、グッチを救った人物として知られる他、2005年には自身の名を冠したブランド「トム・フォード」を設立しています。眼鏡やコスメなどの小物が特に人気のブランドですね。眼鏡にあしらわれたTのイニシャルを見たことがある人も多いんじゃないでしょうか。
トム・フォードによる新生グッチは、大きな支持を得ました。その結果、昔ながらのファンに加え、新しい顧客層を取り入る事に成功。業界内でも話題になり、破産寸前だったグッチは、43億の時価総額をつけるまでに復活したのです。
この老舗ブランドの奇跡の復活劇は、ブランドビジネスの成功例としてもよく語られます。確かに、これ以上ないほどのサクセスストーリーでしょう。
○『教養としてのハイブランド フツーの白シャツが10万円もする理由』(2,090円/とあるショップのてんちょう 著/彩図社 刊)
ファッションが楽しくなる、やさしい服飾史の本! アパレル業界に身を置き、YouTubeにて情報発信も行う著者による初の著書で、ディオールやサンローランといった老舗メゾンから、SacaiやAURALEEといった最新ブランドまで幅広く解説している。
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